第170話 第2の競技にゃ
第1の競技をクリアしたのは、上級クラスの理沙とシトロン組、オルソンとソーマ組、メリヤとコスロ組、初級クラスからベルガモットとキノット組、そして俺とブリットの5組であった。
俺は、理沙とシトロン以外の上級クラスの4人は、顔を知っている程度で話したことすら無かった。
ベルガモットとキノットが俺達の側に来て聞いてもいないのに4人の情報を得意気に解説した。
「あの背の高いスキンヘッドの男がオルソン。身体強化系の魔法が得意なの。そのパートナーがソーマ。オルソンの隣の太い奴。土系の魔法が得意でゴーレムとか使うわね。」
「メリヤとコスロ、小さい方が姉で痩せて背の高い方が弟ね。メリヤが水魔法、コスロが風系の魔法が得意よ。でも、皆、上級だから一通りの魔法は使えるわよ。」
「よく調べてるにゃ!」
「当たり前よ。相手の得意な魔法で勝負しても不利じゃない!逆に弱点をつくのが勝負の定石よ。」
ベルガモットとキノットは、魔法の腕の差を頭で補っていた。
「ところで良いの?」
「何がにゃ?」
「シトロンが理沙の腰に手をまわしているわよ!」
「にゃんだって!」
ベルガモットは、俺が慌てるのを見てコロコロと笑った。
「冗談よ。」
「ベル、止めなよ。来人がかわいそうじゃん。」
「だって、あんまりまどろっこしいだもの。からかいたくもなるわよ。」
俺は、膨れっ面で黙りこんだ。
「まあ、同じクラスの友達だから教えたけど、第2の競技では、てかげんなしだからね。」
「望むところにゃ!」
第1の競技の後、部屋から退出していたマーシャルが部屋に戻ってきた。
「第2の競技について説明をするぞ。第2の競技は、マタウで行う。」
「マタウってにゃんだ?」
「マタウってのは、チームでボールを奪いあってゴールに入れるの。早くゴールに入れたチームの勝ち、相手に直接攻撃する以外は、何をしても許されるわ。」
「解説、ありがとうにゃ、キノット!」
「それじゃ、校庭のマタウ場に移動じゃ!」
マタウ場は、野球のグラウンド位の広さで中央に高さ30メートルのポールが設置され、一番上に大きなかごがついている。
大きな玉入れ競技のかごみたいな感じである。
「こんなところがあったとは、知らなかったにゃ!」
「それでは、早い順に2組が決勝進出じゃ!始め!」
「始めって言ったってボールは、どこにゃ?」
「来人、そこに立っていると危ないぞ!」
ヒュー、ドスン!
俺か咄嗟に飛び退いたその場所2メートル程の大きさの金属製の玉が落ちてきた。
「危なかったにゃ、ってこれがボールにゃのか!」
この大きな金属製の玉がマタウのボールであった。
マタウは、安易ですが
マ、魔法で、
タ、玉を、
ウ、奪い合い
の略です。