第168話 理佐のパートナーにゃ
何だかんだで競技会当日を迎えた。
俺達の教室からは、俺とブリット、ロンとミック、ベルガモットとキノット、ラディッシュとメフトの4組ともう一つの基礎クラスの教室から4組、中級クラスの二つの教室から6組み、上級クラスから3組の合計17組34人が参加することとなった。
大学とは、言っているが全学生合わせてもこの程度の少人数である。
会場は、模擬戦を行う体育館程の広さの部屋で魔法結界が施されており、魔法による衝撃を外部に漏らさない造りとなっていた。
俺は、理沙の姿を見つけ、駆け寄ると声を掛けた。
「理沙、おはよーにゃ!」
「来人、おはよう。調子はどう?」
「まぁまぁにゃ。」
「そう、中級クラスにあがれると良いわね。」
「そうだにゃ。」
あれから俺と理沙は、ケンカと言う程では無いがよそよそしい態度で話すようになってしまった。
「やあ、理沙!そちらが、噂のにゃんこ騎士の来人くんかい?」
そこに現れたのは、長身、金髪の爽やかなイケメンだった。
ブリットもイケメンであるが猫耳のせいで少し、ビジュアルポイントが減点されている。
しかも馴れ馴れしく、理沙の肩に手を乗せている。
「そうよ。来人、彼は、シトロン、神聖国フェリシアからの留学生。今回の私のパートナーなの。」
「え、理沙は、エリスと組むんじゃにゃいのか?」
「そうだったんだけど、エリスが体調を崩してね。」
「どうせ、食べ過ぎにゃ。」
「それで、参加しない予定だったシトロンと組んで出ることになったの。」
「にゃんだって!」
「まあ、そういうわけだ。来人くん。」
ガーン!
実に好青年らしいシトロンに俺は、文句の付けようもなく立ち尽くし、2人の背中を見送るしか出来なかった。
「ふーん、理沙は、学生で一番と言われるシトロンと組むの、内心穏やかではないわね。」
「確かに理沙好みのイケメンだし…って、何のことにゃ!」
声の方を向くとコニャコの背に乗ったエリスがいた。
「誰が食べ過ぎだって?」
「エリス、体調が悪いんじゃにゃいのか?」
「別に悪くないわよ。シトロンに頼まれて代わったの。」
「にゃにー!」
「まあ、来人も理沙を取られないように気を付けるのね。」
「にゃんでそんなことを…?」
「私の、こういった面白いこと大好きなの!」
俺は、絶句した。
エリスの奴にこんな一面が有るなんて…。
「それじゃ、私は、体調が悪いことになっているから、がんばってね!」
「ガンバルニャン!」
エリスは、コニャコと共に立ち去った。
エリスの奴、いつの間にかコニャコを飼い慣らしたんだ。




