第167話 競技会ってどんなにゃ
マジリア魔法大学は、基礎クラスが2つ、中級クラスが2つ、上級クラスが1つと全部で7つの教室に分けられている。
基礎、中級、上級は、魔法の実力で分けられており、マジリアでは、卒業時に基礎、中級、上級のどのクラスにいたかで魔法使いとしてのランクを判断されてしまう。
クラスの振り分けは、入学時と季節ごとに行われる競技会において判断される。
下のクラスの者は、上のクラスにあがるため、上のクラスの者は下のクラスに落とされないように競技会で力を必死にアピールするのである。
競技会での種目は、公平にする為に数種類行われる。
各競技で優勝することは、上にクラスに昇格するために必要ではないが、大きなアピールになることに変わりはない。
今季の競技会は、開催の日程と2人1組で行われることのみ発表され、競技の内容は、当日まで秘密となっている。
「ということで競技会について、分かったかい、来人。」
俺は、同じクラスのラディッシュに競技会について、教えてもらっていた。
「なるほど、俺が理沙と同じ上級クラスに上がるためには、この競技会でがんばればいいのにゃ。」
「来人は、動機が不純だな。」
「そんなことは、無いにゃ。」
「しかし、簡単に言うが、上級のクラスは、専門の魔法使いでもかなりの腕前が必要だぞ。」
「でも、理沙は、上級になってるにゃ。」
「来人、お前、理沙の幼馴染って言ってたけど、理沙の魔法の腕前知らないのか。」
「そう言えば、知らないにゃ。」
「お前、理沙とコンビを組むのを断ったことを後悔するかもな。」
確かに俺は、競技会と聞いて、戦いだと思い込んでいた。
俺もブリットも相手を攻撃する魔法以外は、魔法大学に入って1週間教わった基礎の基礎だけである。
「これは、上級どころか中級も無理だにゃ。」
俺は、早くも諦めモードに入っていた。
「大丈夫ですよ。御主人様なら優勝です。」
「ブリット、お前、気楽だにゃ。」
そのころ、理沙は、上級クラスの教室でエリスに来人への不満をぶつけていた。
「来人の奴、人が折角、上級クラスに上がれるように手伝ってやろうと思って誘ってやったのにブリットと組むって。ねえ、聞いてる、エリス。」
「はいはい、聞いているわよ。それで、私が来人の代わりなのね。」
「そう言う訳じゃないけど、何か、腹立つのよね。」
「まあ、来人とブリットなら、何とかするんじゃない。」
「だって、来人って昔からどっか抜けてるところがあるのよね。」
「そうなの、確かに適当だけど、しっかりしてるわよ。」
「そんなこと無いわ。中学まで朝、起こしに行っていたんだから。」
「はいはい、ごちそうさまです。」
「そんなんじゃなくて、お隣同士の腐れ縁ってやつよ。」
理沙は、顔を赤くして言った。
エリスは、人をからかうのは好きだがノロケ話を聞くのは得意では無かった。