第164話 魔法大学に入学するにゃ
コンコン!
入口のドアが叩かれると同時に開けられて、理佐とエリスが入って来た。
「えーっ、良い部屋じゃない!」
「理沙の部屋よりずっと広いじゃん。」
理佐は、相変わらず俺に遠慮せず部屋に入ってきた。
「少しは、遠慮するってことを覚えるにゃ!ブリットもいるにゃ。」
「御主人、私は、気にしていませんが。」
「へえ、来人もそんなことを気にするようになったんだ。」
俺は、王宮のゴタゴタした片付けが終わった後、ダブリンドアの勧めで魔法大学の寮に部屋を借りることになった。
俺とブリットが同じ部屋でエリスは、理沙と一緒の部屋だ。
エリスは、俺達と一緒でも全く気にしてなかったが、魔法大学では、男子寮と女子寮が分かれていることからダブリンドアから指示されたのである。
学生寮の部屋ではあったが、リビングに寝室、バス、トイレ付でかなり贅沢な造りとなっていた。
これもクーデター騒ぎを治めたお陰で特別な部屋をあてがってくれたのである。
「ブリット、ちょっと付き合ってくれない。」
「何ですか、エリス。私は、御主人様のお側に…」
ポコッ!
「ちょっとは、気をきかせなさいよ。」
エリスは、ブリットの頭を蹴ると小声でささやき猫耳を引っ張ってブリットと共に部屋の外に出て行った。
俺と理沙は、部屋の中に2人きりとなった。
「えっと、来人。これから、どうするの?」
「そうだにゃ。まず、この姿を何とかしないとにゃ。元の世界に戻ってもこの格好じゃ家にも帰れないにゃ。」
「そうね。これ、本当に取れないの?」
理沙が俺の頭を両手で抱えて上に持ち上げた。
「痛、痛いにゃ。だから、きぐるみじゃなくて本当の頭になってるにゃ。」
「あ、ごめん。」
ここで、俺は、理沙の顔がほんの数センチに接近していることに気がついた。
ボンッ!
毛で隠されているが俺の顔は激しく赤面した。
「理沙…」
俺は、理沙の肩に両手をやさしく添えた。
「来人…」
理沙の頬がほんのりと赤くなる。
こ、これは、そう言うことなのか!
俺の心臓は、激しく高鳴った、
「何シテルニャ?」
ビクッ!
「にゃー!」
俺は、激しく動揺し、理沙から離れると意味もなく屈伸運動をしていた。
コニャコがテーブルの下から顔を覗かせて声を掛けてきたのである。
俺は、コニャコが寝室のベットの上で寝ていたのをすっかり忘れていた。
「きゃー、可愛い。何、この子?」
理沙は、コニャコを抱き抱えると頬をすりよせ叫んだ。
「理沙は、まだ見てなかったかな、そいつはコニャコにゃ。」
「それって、子猫がなまってコニャコなの?」
「そんなことは、無いにゃ。」
しかし、理沙の言う通りである。
「これからのことだったにゃ。とりあえず、ダブリンドアの勧めもあって、魔法大学で魔法を教えてもらうことにしたにゃ。」
「それじゃあ、私の後輩ってことね。」




