第161話 悪魔メフィストにゃ
ドーン!
研究室の扉が破られ、騎士、魔法使い、兵達とバックベアード卿に洗脳され操られていた王宮中の兵力がダビュロスへの恨みを晴らそうとなだれ込んで来た。
「ひーっ!」
ダビュロスがたまらず悲鳴とあげる。
「ダビュロス、貴様、よくも我々を操って好き放題してくれたな!」
騎士の1人が剣を抜きダビュロスに迫った。
「メ、メフィスト!」
メフィストは、ダビュロスに迫る騎士を人差し指で軽く弾いた。
ゴロゴロゴロ、バン!
騎士は、吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
「しっかりしてください!ダビュロス、あなたは、この世界の支配者になるんでしょ。」
「し、しかし、洗脳が解けてしまったでは、ないか!」
「仕方がないですね、あなたの力を開放してあげましょうか?」
「それで助かるのだったら、やってくれ!」
メフィストは、ダビュロスの頭に手を乗せた。
ズォッ!
一気にダビュロスの魔力が激しく増大する。
ダビュロスから吹き出す魔力の衝撃で詰めかけていた騎士や兵達がなすすべもなく壁に叩きつけられる。
「うぉー、何だこの凄まじい力は!ハハハ、この力があればもう悪魔の助けなくてもこの世界は俺の物だ!」
「それでは、私の力は、必要ないということですね?」
「もう、お前など必要ないわ!」
ダビュロスは、沸き上がる凄まじい魔力に酔っていた。
メフィストがニヤリと笑う。
「それでは、契約満了と言うことで後は、私の好きにさせてもらいます。」
そこにミックとコニャコを頭に乗せた俺とホルト達兵の一団がやって来た。
「にゃんだ、この凄まじい魔力は?」
ホルト達兵達には、研究室の入口に近づくことさえ出来ない。
「ホルト、あんた達は、ここで待機してくれにゃ。俺が様子を見て来るにゃ!」
研究室の入口からは、まるで濁流の様に魔力が吹き出していた。
俺は、両手を着いて、這うようにして研究室の中に入って行った。
「何だ、お前は?そうか、お前だな、俺の計画を邪魔しているのは!」
ダビュロスは、鼻の下にチョビ髭を生やし、丸メガネを掛けたポッチャリ顔のユルい感じの親父顔ではなく、目元の落ち窪んだ痩せた悪魔の様な形相をしていた。
「この凄まじい魔力は、ダビュロスにゃのか!しかし、人間変わるもんだにゃ。」
「あなたですか?バックベアードさんを倒したのは?」
メフィストが声を掛けてきた。
メフィストからは、横にいるダビュロス程の大きな魔力は感じられない。
しかし、俺は、メフィストがさっき感じた寒気の主だということを本能的に悟っていた。
コニャコが頭の上で毛を逆立ててメフィストに唸り声をあげている。
「お前は何者にゃ!」
「私は、メフィストフェレス、あなた方の言う悪魔と言う存在ですね。ここにいるダビュロスと契約していましたがたった今、契約満了したところです。」
「俺の存在を無視するなー!」
突然、ダビュロスが叫んだ。
辺りを凄まじい魔力の嵐が吹き荒れる。
ブチッ!
「わー!」
「ニャー!」
ミックとコニャコが握っていた俺の頭毛が抜けて吹き飛ばされた。