第160話 まだまだ悪魔にゃ
「これで後はダビュロスを探すだけだ。」
「そうだにゃ…。」
俺は、少し違和感を感じていた。
確かに目玉の化物、バックベアード卿を倒し、兵達は正気に戻ってきている。
しかし、さっき闇の中から感じた寒気がバックベアード卿のものだとしたら、ひどく拍子抜けなのだ。
「どうした来人、何か問題でもあるのか?」
「いや、何でも無いにゃ。」
「ニャーン?」
ミックとコニャコは、俺の頭の上に乗っている。
コニャコは、俺から分離した雷獣にゃんこで尾が二股に分かれた子猫である。
俺は、身近にいた若い兵を捕まえるとダビュロスの居所を聞いた。
「おい、ダビュロスは、何処にいるのにゃ?」
「ダビュロスなら研究室に…。」
「研究室ってどこにゃ?」
「ダビュロスの研究室は、王宮の一番、最下層にある。案内するから俺も連れて行ってくれ!」
「それは、助かるがいいのにゃ?」
「もちろんだ、俺達を正気に戻してくれたお礼だ。」
「あんた、名前は何ていうのにゃ?」
「おれは、ホルト。」
「俺は、来人。それじゃ、ホルト、案内を頼むにゃ!」
「おい、ダビュロスの奴を捕まえに行くなら俺達も連れて行ってくれ。」
その場にいた兵達が俺達に声を掛けてきた。
「ダビュロスの野郎は、俺達で捕まえなければ気がすまない。あの野郎、バックベアードを使って俺達を操りやがって、ただじゃおかねえ。」
正気に戻った兵達は、ダビュロスに怒りを向けていた。
「よし、皆で行くにゃ!」
俺達は、全員で地下にあるダビュロスの研究室に向かったのだった。
そのころ、ダビュロストは、もう1人の人物と地下の研究室にいた。
ダビュロスは、バックベアード卿が破れ、兵達が正気に戻ったことを知り、慌てふためいていた。
「バックベアードがやられて、皆が正気に戻ってしまった。この後、一体どうすればいいのだ、メフィスト?」
「慌てることはない。ダビュロス、お前は、世界の王になるのだろ。」
「俺は、世界の王になるんだ。それにバックベアードが敗れてもまだメフィストがいる。」
「そう、お前には、この私、悪魔メフィストフェレスがついているではないか。」
研究室にダビュロスと一緒にいたのは、悪魔メフィストフェレスであった。
メフィストは、長身で長い黒髪の中性的で人によって、美青年にまた、美女に見えたであった。
ドンドンドン!
「ここを開けろ、ダビュロス!もう逃げられんぞ!」
研究室のドアが正気に戻った、騎士や兵によって叩かれたのである。
「ひーっ!メフィスト、何とかしてくれ!」
ダビュロスは、情けない声を上げた。