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第157話 目力にゃ

「おやおや、こちらの世界のネズミは猫の様な姿をしているんですね。」

カッ!

 バックベアード卿の目が怪しい光を発した。

 俺は咄嗟に目を閉じその光を見ないようにして下に飛び降りた。

「侵入者だ!」

 宝物庫の番兵が叫んだ。

「ほう、私の目の力を知っているようですね。」

 俺はバックベアードと言う名前に聞き覚えがあった。

 子供の頃に呼んだ妖怪の本にその名前が出ていた様な気がする。

 その時に書かれていた挿し絵とは、随分姿が違うが目玉の化物というところは一緒だ。

「しかし、目を閉じたままで動けますかね。」

 俺のために宝物庫で宝玉を探しているミックを置いてこの場を離れることはできない。

 おれは黙って背中の武御雷タケミカズチを抜くと声を頼りにバックベアード卿に斬りかかった。

ズバッ!

 剣に手応え感じた。

「やったにゃ!」

 俺は剣の手応えに薄目を開けて確認した。

 俺の剣はバックベアード卿の肩口から袈裟懸けに切り裂いていた。

『まだだ、来人!』

 俺は武御雷タケミカズチの声に反射的に間合いを取った。

「嫌だな、服が台無しだよ。」

 切り裂かれた切り口から見える服の中は黒い煙の様な物が漂うだけであった。

 バックベアードには肉体というものが無かったのだ。

「か、身体が無いにゃ!」

「また代わりの服をダビュロスに用意させるかな?」

ファサッ!

 バックベアード卿の服が床に落ちる。

 バックベアード卿は目玉だけとなった。

 目玉が徐々に大きくなり、更に黒い煙が密集し渦を巻くように絡み付いていく。

 目玉は1メートル程まで大きくなった。

カッ!

 バックベアード卿の目が怪しい光を発した。

「し、しまったにゃ!」

 俺はまともにバックベアード卿の放った光を見てしまった。

 俺は金縛りにあった様に動けなくなってしまった。

「おや、私の目力めぢからを受けてまだ意識を持っているのですか?」

 動け、動け、動け!俺は、心の中で必死に叫んでいた。

「足掻いても無駄です。さあ、もう一度私の目力めぢからを受けて木偶人形になってしまいなさい。」

カッ!

 俺は目を閉じることも出来ずまともにバックベアード卿の放った光を見てしまった。

 俺の意識は深い眠りにつくように消えていった。

「やっと私の目力めぢからが効いたようですね。これであなたは私の操り人形ですよ。」

 しかし、俺の意識が飛んだときに現れる奴が低い唸り声と共に目を覚ました。

フーッ!

「な、何ですか?私の目力めぢからが効いたはずでは…」

 来人の身体がみるみる膨らみ尻尾が二つに別れていく。

ニャーオ!

 久々、登場の体長10メートルの雷獣にゃんこである。

「何だ、この化け猫は?」

 バックベアード卿は慌てた様子で再び、目力めぢからを放った。

ニャオ?

 雷獣にゃんこは可愛く首を傾げた。

「わ、私の目力めぢからが効かないのか!」

ニャー!

ペシッ!

 雷獣にゃんこは前足でバックベアード卿をはたき落とした。

「ぎゃっ!」

 床に叩きつけられ悲鳴をあげたバックベアード卿を見て、雷獣にゃんこはキラキラと目を輝かせた。

ウニャー!

ゴロゴロゴロ!

 雷獣にゃんこはボールと戯れる猫の様にバックベアード卿を転がして遊びだしたのだ。

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