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第156話 バックベアード卿にゃ

 俺達は人気の無い通路を身を隠しながら慎重に玉座の間を目指していた。

「夜中だがここまで静かだと異様だな。森の中でももう少し賑やかだぞ。」

「確かに人の気配がしないにゃ。」

 玉座の間を確認したがダビュロスどころか全く人の気配が無い。

「おいおい、どうなっているんだ!」

「何か嫌な予感がするにゃ!」

「縁起でもないことを言うなよ!そんなことを言うと何か悪いことが起こるんだよ。」

『来人!』

「にゃ!」

「来人、何、変な声を出しているんだ!」

「ごめんにゃ、急に武御雷タケミカズチが話し掛けて来たんで驚いたにゃ!」

『来人、宝玉の気配がする!』

「何だって、それは本当にゃ!」

『このまま進んで右に降りた所だ。』

「ミック、予定変更にゃ!先に宝玉を手に入れるにゃ!」

 武御雷タケミカズチの案内で俺達がたどり着いたのは宝物庫の前だった。

 宝物庫の前には流石に見張りが立っていた。

「不味いにゃ、まだ騒ぎは起こしたくないにゃ。」

「来人、見ろよ。俺の身体ならあそこにある通気孔から宝物庫の中に入れる。俺が中に入って宝玉を取ってくる。」

 見ると宝物庫の入口の扉の上に拳大の通気孔があった。

「見張りの頭の上じゃにゃいか!」

「黒い玉だったな、すぐに取ってきてやるよ!」

 ミックはそう言うとスルスルッと柱をよじ登り梁を伝って通気孔に潜り込んだ。

「流石、リスにゃ!」

 その時、俺は通路の奥の闇の中からゾクッとする寒冷気を感じ身震いをした。

カツン、カツン

 通路の奥から足音が響いてきた。

「ヤバイにゃ!誰か来たにゃ。」

 前には宝物庫の番兵、後るからは足音が近づいて来る。

 俺は咄嗟に柱をよじ登り梁の上に隠れた。

カツン、カツン

 足音が近づき、足音の主が姿を現した。

 足音の主は頭からすっぽりと黒いフードを被った人物だった。

「これはバックベアード卿、このような所に如何しました。」

 宝物庫の番兵が足音の主に声を掛けた。

「いや、ダビュロス長官を探していてね。」

 バックベアード卿と呼ばれた人物は頭からフードを取ると番兵に答えた。

「にゃ。」

 俺は思わず叫び声をあげそうになるのを必死で堪えた。

 サッカーボール程の大きな眼球が煙に包まれて浮いている。

 身体と言えるものは、無かった。

 騎士の言っていた目玉の化物である。

 陽気な話し方がよけいに気味の悪さを際立たせていた。

「異常は有りませんか?」

「特に変わった事は、有りません。」

「そうかい、大きなネズミが入り込んでいるようですけどね。」

 バックベアードア卿はそう言うとギョロリと梁に掴まっている俺を見上げた。

「み、見つかったにゃ!」

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