第155話 悪魔召喚の書にゃ
王宮の外壁に黒い影が取りついていた。
「この辺のはずなんだがにゃ。」
「来人、ここだ。」
「どこにゃ、ミック。」
「ここだ。」
俺は今回の王宮への潜入に備えてにゃんこ騎士の銀の鎧の代わりに身体にフィットした黒いスーツを着てきた。
今回の俺はにゃんこ騎士改めてスパイにゃんこだ。
今回の任務は王宮に忍び込みダビュロスから騎士達の洗脳の解き方を聞き出す。
更に騎士の言って言っていた目玉の化物の正体を暴き出来れば倒す。
ついでに宝物庫から武御雷の宝玉を持ち出すことである。
「ここがマリーダ女王の言っていた抜け道の入口にゃ」
そこは王宮地下に通じる排気ダクトだった。
マリーダ女王が子供の頃、偶然に発見したもので子供であれば通れる程の幅しかない。
しかし、にゃんこの俺は頭が入れば通れる。
しかも今の俺の身体は子供程度の体格に縮んでいるので問題無く通れるだろう。
「俺から行こう。俺の方が小回りがきく。」
「分かった、頼むにゃ!」
俺達はミックを先頭にして排気ダクトに潜り込んだ。」
排気ダクトの中をしばらく狭く俺は這って進んだがやがて立って歩ける程に広くなった。
優先事項はダビュロスから洗脳を解く方法を聞き出すことである。
俺達はまず、ダビュロスの部屋に向かうことにした。
「この下がダビュロスの部屋だ。」
俺達は通気孔から部屋の中をうかがった。
「誰もいないようにゃ。」
とりあえず、俺達は洗脳を解く手掛かりなるものがないか探してみることにした。
中年男の部屋にしてはきれいに片付けられている。
本棚には沢山の魔法書が並べられているがほこりがかぶっており最近読んだ気配は無かった。
「来人、見てみろよ!面白い物があるぞ。」
机の上を見ていたミックが俺を呼んだ。
「何かあったにゃ?」
「こいつを見てみろよ。」
ミックが卓上に無造作に開いたまま置かれた本を指差した。
「悪魔召喚の書?魔物の召喚するのにゃ?」
「おいおい、一緒にしないでもらえるかな!魔物と悪魔は全く違う物何だぜ。」
「そうにゃのか?」
「俺達を魔物は純粋にこの世界の生き物だ。だが悪魔は別の世界から召喚された物だ。どちらかと言えばお前達、異界人の方が悪魔に近いのさ。」
「俺達が悪魔にゃのか?」
「そうは言っていない。実際、その区別は行動が悪なら悪魔、善なら天使と呼ばれる。来人も行いが悪ければ悪魔と呼ばれる様になるぞ。」
「ミックは、博学にゃんだな。」
「俺に学なんて無いさ、全部ダブリンドアの受け売りだ。」
「でも、これって俺達が元の世界に戻る手掛かりになりかもしれないにゃ。」
とりあえず、俺は悪魔召喚の書を懐に入れた。
「別の場所を探すにゃ。ここにはもう大したものは無さそうにゃ。」
俺達はダビュロスの部屋を後にして玉座の間に行くことにした。




