第15話 モルドーの町を散策するにゃ
俺はフィーネとエリスといっしょにモルドーの町を散策していた。
シデンは鍛冶屋に武器の手入れに行くと別行動だ。
モルドーの町はレンガで造られた家が立ち並び、道は石畳で舗装された西洋風の大きな町だ。
ちょうど、町の中央の広場で大きなマーケットが開かれて色々な物が並べられている。
人通りも多くにぎわっていた。
俺は三角帽子をかぶったいかにも魔術師風の老人が店番をする店を覗いた。
テーブルの上には何冊かの本が並べられており本は俺には読めない不思議な文字で書かれていた。
「おじいさん、この本は何の本かにゃ?」
「あんた、知らないのかい?これは魔法書だよ。魔法を身に付けるときに使うものだよ。」
「魔法書にゃ?」
「来人、魔法書てのは魔法使いが魔力を込めて自分の持っている魔法を他人に伝える為に魔力を込めて作る本で実際に読むものじゃないのよ。魔法書の上に手を載せて魔力を込めると本に込められた魔力が身体に移ってその本に書かれた魔法が使えるようになるのよ。」
フィーネが説明してくれた。
「便利なものだにゃ。」
「私は弓を撃つ時に風の魔法を使ってるのよ。遠くに飛ばしたり命中度を上げたりしているの。必要があれば直接、魔法で攻撃することも出来るわ。」
「そうなんだにゃ。」
「そんなことも知らないのかい。サービスしておくんでどうだい一冊。ここにあるのは炎の魔法だよ。それ程、強力って訳ではないがね。強力なものは、大体、ダンジョンで発見されるんだが今日は置いていないよ。」
「そうね、来人。覚えておいて損はないわよ。」
「そうだにゃ。一冊もらおうにゃ。」
「毎度あり。ここで覚えていくかい。」
「ここで出来るのかにゃ?」
「もちろん、この本の上に手を載せて魔力を込めるてごらん。魔力を込めるって言っても本に意識を向けるだけでいいよ。」
「こうかにゃ。」
俺は本に手を載せて目を閉じ本を意識してみた。
すると、本が温かくなり、その温もりが腕に上がってくる。
目を開けると本に書かれた文字がぞわぞわと動き出し俺の手から腕に沿って這い上がってきた。
「にゃー!」
「大丈夫、そのまま、本から手を離さないで。」
文字は、本から俺に這い上がってきて俺の頭まで来ると消えていった。
全ての文字が消えた後、俺の頭の中には炎の魔法が覚えこまされていた。
「どう、覚えられた?」
「うん、大丈夫にゃ。」
俺は指先に小さな炎を灯した。
今日から、俺も魔法使いだ。