第147話 床の下のマリーダにゃ
「マリーダ女王ですって!」
「それ、さっき俺が言ったにゃ。しかし、何で女王がこんな所にいるんにゃ?」
「何ででしょうね。今朝、ダビュロス長官からダブリンドア学長が会いに来ているとこの部屋に案内されたんですわ。そうしたら床が抜けてここに落たのよ。床が傷んでいたんでしょうね。早速、修理させないと。あなた達も落ちてしまったみたいですしね。」
「いや、それは、床が傷んでいたんじゃにゃくて落とし穴にゃ。」
「この人、かなり天然みたいね。」
「そうだにゃ。ところでマリーダ女王、ダビュロス長官って誰にゃ?」
「ダビュロス長官は、魔法省の長官ですわ。」
「間違いない、あれね。」
「そう、あれだにゃ。」
「クーデターですね、御主人様。」
「そのダビュロスがクーデターを起したんだにゃ。」
「そんな、あのダビュロス長官がクーデターを起したなんて…。」
「だから、女王がここに閉じ込められているんだにゃ。」
「ハハハ、その通り。」
ガチャリ!
天井となっている頭上の床が小さな窓ほどの大きさで開いた。
そこから鼻の下にチョビ髭を生やし丸メガネを掛けたポッチャリ顔が姿を現した。
「ご機嫌ようマリーダ女王陛下!どうです特別室の居心地は?」
「ダビュロス長官。冗談はやめて私をここからお出しなさい。」
「おやおや、冗談ですって、クーデターですよ。天然の女王陛下の代わりに私がマジリアを統治するのです。そして、いずれこの大陸全土を私の物にするつもりです。」
「なんてことをダビュロス長官、今ならまだやり直せます。クーデターなどバカなことはお止めなさい。」
「ハハハ、まだそんな天然ぶりを発揮するのですか女王、いやマリーダ。後は邪魔な魔法大学のダブリンドアを始末すればこの国は私の意のままになりましょう。まあ、そこでゆっくりとくつろいでおいでなさい。」
ガチャリ!
ダビュロス長官は、床の小さな窓を閉じると笑い声を残して立ち去った。
「そんな……どうしましょう。どうにかしてここを出なければ。」
「でもマリーダ女王、どうやって出るの?ここ、魔力を使うのが妨害されてるんだよ。」
「ええ、この青く光る石は魔力を吸い取る力が有るから魔法を使おうとしても全て吸い取られてしまうの。」
「そう、魔力が使えないから私もブリットも飛ぶことが出来ないの。」
「何だ、深く考えることなんて無いにゃ。魔法がダメなら直接ぶっ壊せばいいってことにゃ。」
「直接壊すって?」
「ブリットは飛べるにゃ?」
「すみません飛ぶのは無理ですね。」
「それじゃあ、俺を上に向かって投げ上げるのはどうにゃ!」
「その位なら大丈夫です。」
「来人、どうするの気よ?」
「まあ、見ているにゃ!」
ブリットは身体の前で両手を組んだ。
「御主人様、いつでもいいですよ。」
「行くにゃ!」
俺がブリットの組んだ両手に足を乗せると同時にブリットは俺を勢い良く上に放り上げたのだ。
ぐんぐん、天井へ近づいていく。
俺は背中ら武御雷を抜くとダビュロスが顔を出していた場所に切りつけた。