第145話 王都マジタリスにゃ
俺達をアリストン山から運んできた飛龍はマジリアの王都マジタリスの郊外の平原に静かに着陸した。
俺達は飛龍の背から降りた。
「ありがとうにゃ、楽しい空の旅立ったにゃ!ナーガ達によろしくにゃ!」
「了解した。貴殿達の武運を祈るす。」
飛龍はそう言うと静かに飛び立った。
今回、マジリアに来たのは、妖精剣のメンバーである俺、ブリット、エリスの3人である。
修一は誘ったのだが実力でフドウを超えるため修行をすると言ってナーガの所に残った。
アリアもやはり修行をすると言って残ったのだが修一のことが気になるらしい。
今後、この2人の関係がどうなるか楽しみである。
さて俺達のマジリアでの目的は俺と修一をこの世界に連れてきた女神についての情報収集と武御雷の宝玉を手に入れることである。
しかし、ナーガが宝玉の魔力を感じ位置を特定できたのはマジタリス周辺ということだけだった。
「まあ、とりあえず、マリウス王からもらった女王への紹介状があるから王宮へ行ってみるにゃ。」
「そうね、今夜は王宮に泊めてもらえるとラッキーね。」
「そうだにゃ、久々にフカフカの布団で寝たいにゃ。龍の神殿は寝室には気を使ってなかったからにゃ。寝れれば何処でも良いって感じだったにゃ。ところでマジリアの女王って、どんな人にゃのかな?」
「さあ、マリーダっていう名前らしいわね。でも名前しか知らないよ。」
「エリスも知らないんですか!」
「ブリット、私だって知らないことだってあるわよ。」
「まあ、知らないのならしかたがないにゃ。行けば分かるにゃ!」
「そうですね、御主人様。」
取り合えず、俺達はマリーダ女王に会うためマジタリスの王宮に向けて出発した。
マジリアは魔法の研究が熱心な国である。
王都のマジタリスには女王のいる王宮と肩を並べるほどの権威を持つマジリア魔法大学がある。
「武御雷の宝玉の在り処について調べるためにも先ず女王に協力してもらうのが一番にゃ!」
マジタリスの街に入った俺達は街の中がえらく静かなのに気がついた。
まだ、日も高いのに通りに人の気配が無いのである。
「あれ、こんな昼間から人通りが全くないのね?」
「御主人、気付いていますか?あっちこっちの建物の窓からこっちを覗っています。」
「気付いているにゃ。でも襲ってくる様な感じじゃにゃい。どちらかと言えば怯えているようだにゃ。」
「そうですね。」
「まあ、気を付けた方が良さそうにゃ。」
俺達は人通り無い大通りを歩き王宮の入口へたどり着いた。
俺達が声を掛ける前に髭面の番兵が声を掛けてきた。
「何だお前たちは、見ない顔だな。王宮へ何のようだ?」
「俺達は、マリーダ女王に会いにきたにゃ。ここにローマシア国のマリウス王からの紹介状があるにゃ。取り次いでもらいたいにゃ。」
「貸してみろ。」
番兵にマリウス王の紹介状を渡すと番兵はその場で紹介状を確認した。
「うむ、本物のようだな。ここで待っていろ。」
番兵は、門の奥に消えるとしばらくして背の高いがっしりした体型の騎士を連れて戻ってきた。
「お前達が、マリウス王の書状を持ってきた者たちか、他に連れの者はいないのか?」
「いいえ、私達3人だけよ。」
「それでは入れ。」
エリスが答えると騎士は、俺達をジロジロと眺めた後、王宮の中へ招き入れた。