第144話 武御雷の宝玉にゃ
「ところでにゃんこお前が背負っているのは武御雷じゃないのか?」
「そうだけど、ナーガ、武御雷を知っているのにゃ?」
「知っているとも、しかし、全く力を感じられん。ん、宝玉がついておらんじゃないか。なるほど、それで黙っておったのか。」
『うるさい、宝玉が無いのは、俺っちのせいじゃない。ケイルの野郎が飲み屋の酒代が払えず、取り上げられたんだ。』
「ハハハ、ケイルらしい。それで奴はどうしている。」
『ナーガ、人間が何百年も生きている訳無いだろ。』
「そうか、それは残念だな。」
「驚いたにゃ、ナーガは武御雷と会話できるんだにゃ。」
「当たり前だ、俺は伝説の金龍だぞ。」
「ところでケイルって、武御雷の元の持ち主を知っているのにゃ?」
「ケイルは黒龍との戦いで活躍した奴で人間の間では勇者ケイルと言われていた。ただ、酒好きで失敗をしていたようだがな。」
「そうか、それで武御雷の宝玉を手放したって訳だにゃ。」
「ところで宝玉は手に入れるつもりは無いのか。」
「あれば欲しいけどにゃあ、どこにあるか分からないからにゃ。」
「ちょっと待て宝玉の気配を探してやろう。うーん、南西の方角、距離からマリジアだな。手に入れれば、強力な力となるだろう。」
「黒龍の方は放っておいていいのにゃ?」
「良くは無いがアスラの持つ黒龍、金龍、人の魔力が馴染むまで3ヶ月はかかるだろう。それまでに宝玉を手に入れて黒龍とアスラを倒してくれ。」
「それは、分かったけど、俺と来人が元の世界に戻る方法とか知らないか?」
修一が横から口を挟んできた。
「そうそう、俺が元に戻る手段も知らにゃいか?」
「残念だが俺は知らない。お前達2人を異世界から呼んだのは多分、女神フェリシアか女神アメイシアだろう。」
「この世界には2人の女神様がいる。創造を司る光の女神様と破壊を司る闇の女神様。お前達には、微かに光の女神様の力を感じる。もしかしたら黒龍の復活を阻止するためにこの世界に光の女神様がお前たちを招いたのかもしれないな。」
「全く、迷惑な話だな。」
「そうだにゃ。」
「おいおい、女神様の悪口を言うとバチが当たるぞ。」
「だって、黒龍の復活を阻止するのなら、光の女神様が自分でやれば良いにゃ。」
「そう言う訳にいかない。女神様たちがこの世界に直接介入したら世界が滅びてしまう。」
「それなら、黒龍の復活を阻止したら元の世界に戻ることができるのかよ。」
「多分、そうだろう。」
「多分って、無責任にゃ!」
「いや、俺がお前達をこの世界に呼び出した訳では無いから分からんよ。」
「それも、そうだな。まあ、俺はこの世界のこと気に入っているから良いけどね。」
「修一、お前は、まだ、人の姿だからよいにゃ。俺はにゃんこだにゃ。」
「悪い、お前の事考えてなかった…。」
「まあ、俺も結構にゃんこライフを楽しんでいるから良いにゃ。じゃあ、次の目的地はマジリアにゃ!」
「頼んだぞ。この世界を救ってくれ!」