第142話 金龍ナーガにゃ
俺達はフドウの神殿を後にし、ヴァイスの案内で金龍ナーガの神殿へ向かっていた。
「やっと、ナーガに会えるにゃ。」
「ねぇ、ヴァイス!ナーガって、どんな人って言うか龍なの?」
「そうですね、強く、優しく、悪に対して厳格な、とにかく素晴らしい方でした。」
「でしたって?」
「黒龍との戦いの後、あの方は変わってしまった。まあ、お会いになれば分かりますよ。」
「何かもったいつけるにゃ。」
「まあ、良いじゃないか来人。会えば分かるって言うんだから、会うまでのお楽しみってことで。」
「そうだにゃ。」
「御主人様、神殿が見えてきましたよ。」
俺は、金龍と言う位だから純金で出来たきらびやかな神殿を想像していたのだが、実に落ち着いた感じの石造りの神殿だった。
「へぇ、結構、良い感じの神殿だね。」
神殿の入口には、一体の蛇のように身体の長い龍が柱に巻き付いていた。
「やぁ、ジーン、警戒ご苦労さん。」
ヴァイスが声を掛けた。
「ヴァイス殿か、ナーガ様がお待ちですぞ。」
「分かった、直ぐに行くよ。」
俺達は急かされる様にしてナーガの待つという部屋に案内された。
部屋は体育館程の広さがあり、部屋の奥をカーテンで仕切っていた。
「ここにナーガがいるのにゃ?」
俺が呟いた直後するするとカーテンが開いた。
カーテンの向こうに姿を現したのは40メートル程の金色に輝く龍の姿であった。
「金色の龍!」
「私が金龍ナーガだ。」
部屋中に重低音の声が響いた。
「ナーガ様、妖精剣の方々をお連れ致しました。」
ヴァイスは、大袈裟なお辞儀をした。
「うむ、ご苦労であった。」
俺もヴァイスに習ってお辞儀をした。
「カノン王の使いで来たにゃ。」
「うむ、その件は聞いておる。」
エリスは、ナーガを眺めながら違和感を覚えていた。
「ねえ、アリア。あのナーガって動かないね?」
「え、そうかな?」
エリスは、突然、ナーガの方に向かって飛んでいった。
「こ、こら、お前、何をしている。ち、近づくな!」
ナーガが慌てた声を出す。
エリスはナーガの頭の後ろに小さな影を見つけた。
「あんた、誰よ?」
「こ、こら、近づくなと言っただろう。」
影の正体は、柴犬程の大きさの小さな龍だった。