第132話 霧鏡陣にゃ
『女同士の戦いを征したのはシャナだ。かろうじて立っているだけだがシャナの勝利だ!』
「てーい!アリアの仇!」
ドン!
そんな状態のシャナに止めを刺したのはエリスだった。
空から勢いをつけたエリスはかろうじて立っているだけだったシャナの後頭部に体当たりをしたのだ。
グラッ!
「くっ、身体が動かん。」
ヒュー、ドサッ!
『おーッと、シャナ、落下した。気絶しているぞ、限界だったのか?あの小さな身体でシャナを倒したのはエリスだ!』
「えへん!」
エリスは胸を張って威張っている。
一方、形勢が変わっていたのはブリットとサイガの勝負だった。
優勢だったブリットがサイガに手こずり始めていた。
修一が溶岩を凍りつかせ十分な足場の出来たため、サイガの霧分身が読みづらくなったのだ。
「皮肉なものだな!お前の仲間が足場を作ってくれたおかげで私の動きが読めなくなったようだな。」
「そうですね。でも、これはこれでやりようがありますよ。しかし、もっと早くあなたを仕留めておけば楽でしたね。」
しかし、ブリットはこの時、如何にすれば華麗に勝てるかと真面目に考えていたのであった。
先程、戦いで広範囲への攻撃技を使って勝ったのが雑で泥臭い戦いであったと不満が残っていたのである。
「雷神2!」
ブリットは、既に雷神化していたが、ここで更にギアをあげた。
パリパリ!
ブリットの身体の周りで放電が起こる。
「ここにきて更にパワーアップするのか!」
サイガが驚いた表情を浮かべた。
「本体が一人なら、本体に当たるまで1つづつ潰していくだけです。」
ブリットはそう言うとまるでサイガの分身を1つづつ線でつなぐように走り抜けた。
ガシッ!
「あなたが本体ですね。」
バキッ!
ブリットの蹴りがサイガに炸裂した。
「ぐあ、早い!」
「どうです、拡散雷を使わなくてもやりようが有るのですよ。」
「スピードでは明らかに奴が上か!しかし、勝負はスピードだけではないのだよ。」
サイガは、両手を胸の前であわせた。
「霧鏡陣!」
サイガが叫ぶと同時に二人の周囲の空中にドア程の大きさの鏡がいくつも現れた。
「なんです、この鏡は?」
「さあ、何でしょうね。」
そう言うとサイガは何と鏡の一つに入ってしまった。
バキッ!
そして、次の瞬間、別の鏡から現れたサイガがブリットに蹴りを入れたのである。