第131話 忍法にゃ
アリアは掠ることも許されない強力なシャナの攻撃を紙一重で避けながら攻撃を諦めていなかった。
「効かないっていってるのに諦めが悪いわね。」
シャナは強力な一撃を振るい続ける。
シャナの強力な攻撃を例えるなら女子高生がダンプカーを軽々と振り回して叩きつけてくるようなものである。
ブン!
シャナの右の回し蹴りがアリアの前髪を掠めた。
髪が焼けるような嫌な匂いが鼻をつく。
「本当に冗談じゃ無いパワーね。でも、どんなに防御力が高くても忍には忍の戦い方があるのよ。」
数え切れない程のアリアの攻撃を受けて平気でいたシャナの身体に突然、異変が起こったのである。
「痛っ!」
右フックを空振りしたシャナは、右肘に軽い痛みを感じた。
「やっと効いてきたみたいね。これが最後よ。」
アリアはシャナの延髄に蹴りを入れた。
「痛っ!」
シャナはアリアの最後の蹴りを受けた瞬間にビリビリと全身を電気が流れるような感じがしたと同時に全身が硬直して動けなくなってしまった。
「身体が動かない。一体、何をしたの?」
「自分の防御力を過信したようね。忍法金縛りの術よ。生物の身体にある108個の点を順番に刺激することによって全身を麻痺させる忍の秘術よ。でも、流石に龍ね。人間なら、どんなに屈強な男の人でも10箇所も打てば、動けなくなるのに64箇所も打たないと効かないとはね。」
「くそ、動けない。こんな地味な術に……」
「私の攻撃が軽いからって防御を疎かにしたのがあなたの敗因よ。」
『おーっと、今度は、シャナとアリアの間で決着が着きそうだ。シャナ、動けないぞ。圧倒的に不利と思われたアリアが勝利を収めるのか。』
「それじゃあ、邪魔が入る前に片付けさせてもらうわね。」
アリアは、シャナの正面に立って止めを刺そうと拳を振り上げた。
ウォー!
その時、シャナはアリアに向かって咆哮を上げた。
「しまった、龍の咆哮。キャー!」
凄まじい衝撃波がシャナの口からアリアに向かって放たれたのである。
正面からシャナの咆哮を受けたアリアは武闘台から客席まで弾き出されてしまった。
「勝ったと思ったのに……」
アリアは、観客席まで吹き飛ばされて気を失ってしまった。
人の姿をした状態であったがシャナの龍の方向はアリアを場外に吹き飛ばすには十分の威力があったのだ。
『おおーっと、アリアがシャナの龍の方向によって場外にはじき出された。アリアはどうやら失神しているようだ。シャナの勝利だ!これで武闘台に残っているのは、漢組は、フドウ、サイガ、シャナ、メロス。妖精剣は、にゃんこ、ブリット、流星になったぞ!』
「私を忘れないでよね!」
エリスの叫びは聞き流された。