第130話 全身凶器シャナにゃ
修一の月光氷結により武闘台の溶岩の池は凍りつき岩場と化してしまった。
「修一、凄いじゃない。やれば出来る子だったのね。」
俺の頭にしがみついていたエリスがいつの間にか修一の所に飛んでいっていた。
「へへへ、そうだろ。太陽の日輪モードが熱い炎なら、月の月詠モードはクールな氷って訳さ。」
修一が自慢げにエリスに説明している。
「口だけの男では無かったようだな。それにしてもジクス、不甲斐ない。喝ーっ!」
突然、フドウが大声を上げた。
パリン!
フドウの大声で凍りついていたジクスの氷が割れ、同時に意識を取り戻したジクスは気合を入れられピンと直立した。
「ジクス、お前の負けだ。武闘台から降りろ!」
「はいっ!」
ジクスは真っ青な顔して慌てて武闘台から出て行った。
「流星とやら、もう一度、俺が相手をしてやろう!」
「望むところだ、今度はさっきみたいには行かないぞ!」
『おーっと、どうやらフドウ、流星と再び戦うようだ!』
フドウが動き出した時、別の対戦も動きを見せていた。
終始、スピードで相手を翻弄していたアリアであったがシャナを倒しきれないでいた。
「あなた、スピードはまあまあだけど、これじゃあ私は倒せない。」
シャナが攻撃を受けながら、アリアに言い放った。
「何を負け惜しみを言って。」
アリアは言い返しながらも自分の攻撃が一撃でシャナを倒せるほどの力が無いことに気付いていた。
「あなたも気付いているのでしょう。あなたの攻撃は私にとって避けるまでもない位、軽いのよ。」
「ガーン!って、そんなこと分かってるわよ。流石に人の姿をしていても龍ね。防御力が尋常じゃないわ。」
「それじゃあ、負けを認めて、武闘台から降りるのね。」
「残念ね、私達、妖精剣のメンバーはあきらめが悪いのよ。」
「それじゃあ、叩き出すだけよ。私は手加減できないから怪我をしても恨まないでね。」
シャナは、これまで防戦一方であったが攻撃に転じ、振りかぶった拳を攻撃してきたアリアに合わせて大きく殴りつけた。
ドカン!
間一髪、アリアは身を翻しシャナの拳を避けた。
しかし、空振りのシャナの拳は武闘台の柱に当たり柱を根元まで吹き飛ばしてしまった。
『おおーっと、防戦一方だった、シャナが攻撃を仕掛けた。破壊力抜群の全身凶器の二つ名のとおり、パンチ一発で石柱を破壊した。』
「うそ!こんなの受けたら、怪我じゃすまないよ。」
アリアは、シャナの破壊力に背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「どう、武闘台から降りる気になった?」
「上等じゃない、やってやるわよ!忍を舐めないでね!」