第13話 牢屋に入れられたにゃ
俺たちは、サイノ村から首都リーンの中間に位置するモルドーの町にいた。
そして、そろって町にある王立軍の駐屯所の牢に放り込まれていた。
俺とシデン、フィーネ、ゴドーは牢に。エリスは、鳥かごのような小さな檻に入れられている。
俺たちを襲ったデュークとその妹アリア、そして他の4人の男たちは、王立軍諜報部に所属しているらしい。最近、闇ギルドが強力な武器や禁制の薬物を集めているとの情報があり、警戒を強めていたという。
そんな中、「狂気の雫」が運ばれるという情報を得て、彼らは山道で待ち伏せしていたらしい。
そのため、ゴドーの馬車に乗っていた俺たちは、闇ギルドのメンバーで馬車の護衛だと誤解されたようだ。
実際、ゴドーが白状した通り、御者席の下から「狂気の雫」の入った瓶が発見されている。
俺たちは、ただ馬車に乗せてもらっただけだと主張したが、聞き入れてもらえず牢に入れられたというわけだ。
「皆さん、すみません。私のせいでこんな目に遭わせてしまって……」
ゴドーは捕まってからずっと、俺たちに謝り続けている。
根はいい奴なのだろう。
普通の御者が闇ギルドから荷物の運搬を依頼されたら、それがどんなものであろうと断ることはできないだろう。こいつも、ある意味では被害者なのだ。
そのとき、牢の前にデュークとアリアが現れた。
「やぁ、皆さん。調査の結果、サイノ村であなた方がゴドーの馬車に乗り合わせたのは偶然であることが確認できました。」
「だから、何度も説明したにゃん。」
「まあまあ、そう言わずに。こちらも確認せずに釈放するわけにはいきませんからね。」
「もともと、依頼されれば何でもする冒険者なんて、信用できないのよ!」
「アリア、言葉を慎みなさい。こちらの方々は闇ギルドとは無関係です。」
「でも、兄貴……」
「黙りなさい。すみませんね、妹はやんちゃでして。さあ、牢から出てください。ただし、ゴドーは脅されていたとはいえ、ブラックポーションを運んだ事実は消せませんので、釈放はできません。」
「分かっています。罪を償わせてください。」
こうして、俺たちはようやく牢から出ることができた。




