第126話 にゃんこの提案にゃ
『次鋒戦、漢組フドウが勝利!一撃で勝負がついたーっ!』
遠慮のない実況に修一は身体を小さくしていた。
「あのフドウという男かなり強いですね。御主人様。」
「油断していたとはいえ、修一を一撃で倒すとはフドウはかなりの腕前にゃ!」
「そうね、修一を一撃ですものね。」
「一撃だもんね!」
「ゴメンよー!そんなに一撃、一撃言わなくても…。」
「冗談にゃ!大丈夫、俺に考えがあるにゃ。」
「でも、お前が勝ってもエリスとアリアで一勝しないと負けなんだぜ!」
「あら、一撃で負けた人が偉そうに!」
「偉そうに!」
「ぐっ!」
修一はアリアとエリスの言葉に黙ってしまった。
「冗談は、さておき、私やエリスが単独で勝てる相手が出てくればいいんだけど…。」
「そう、そこにゃ。俺達の真骨頂はチームワークにゃ!」
いつも好き勝手にしているにゃんこの来人がチームワークを語ったため、皆は、絶句した。
「フドウ!提案があるにゃ!」
「何だ、提案とは?」
「俺達5人とそっちの5人のバトルロワイヤルを希望するにゃ!」
「バトルロワイヤルだと?」
「ちょっと、来人!それだと、またフドウが出てくるわよ。」
「それでいいのにゃ。フドウに勝たなくて試練も何も無いにゃ。それに修一に名誉挽回のチャンスをやるにゃ!」
「ううっ、ありがとう、来人。心の友よ!」
「その代わり今度は真面目にやるにゃ!」
「そう言うことならバトルロワイヤルを受けてやろう!それに相応しい舞台を用意してやろう。」
フドウはさっと右手をあげた。
ゴゴゴゴ…
地響きが起こり武闘台の石畳が地面に吸い込まれていく。
残ったのは一抱え程の太さの何十本も石柱だった。
ボコン、ボコン
柱の下は燃え盛る溶岩の池だ。
『おーっと、これは赤の神殿の名物「燃える漢の赤い闘技場」だーっ!』
「ルールは簡単だ!相手を全て倒した方の勝利だ!」
「分かった、そのつもりにゃ!」
闘技場がとんでもない舞台に変わってしまったのは想定外であった。
だがバトルロワイヤルに持ち込むことに成功した。