第124話 ブリットの新技にゃ
ブリットは霧分身により5体となったサイガに防戦一方であった。
スピードでブリットはサイガをを完全に超えている。
だが数の上では5対1であり、更にブリットの攻撃自体がサイガをすり抜けてしまうのだ。
「キャー、サイガ様、かっこいい!」
サイガの有利にサイガファンが黄色い声援を挙げる。
俺はサイガファンの黄色い声援にブリットがやられている以上にイラついていた。
「何してるんにゃ、ブリット!そんな奴、さっさとやっつけてしまうにゃ!」
「やれやれ、簡単に言ってくれますね。しかし、本物が分からない上、攻撃が当らないのでは…。」
俺がこんな事を言っている為、会場ではブリットがヒールになっていしまっていた。
「5人だろうが何だろうが全部ぶっとばしてしまうにゃ!」
「全部ぶっ飛ばす?そうですね、全部ぶっ飛ばしてしまえばいいんですよ。流石、御主人様!」
ブリットは何かを悟ったようだった。
俺は深い意味もなく適当にブリットを煽っていただけに何のことだかさっぱり分からなかった。
「何をするのか知りませんが観客も十分に楽しんでもらえたようですので、そろそろ止めを刺させてもらいますよ。」
サイガは霧分身5人で同時にブリットに攻撃を仕掛けた。
「本体が分からなければ5人全員を一気に攻撃すれば言い訳ですよ。」
サイガの攻撃がブリットに届く直前、ブリットは両腕を真上に突き上げた。
「拡散雷!」
ブリットを中心に花火の様に電撃が周囲に拡散した。
バリバリバリバリッ!
「ぐわーっ!」
5体のサイガ全てを電撃が貫いた。
分身であった4体は霧散し消え去った。
本体であるサイガは全身を電撃が貫き、その場に倒れた。
「俺も使っていない新技にゃ!」
『おっーと、サイガ、ダウン!ブリットが防戦一方から一転して強力な拡散雷で逆転だ!サイガ、立てるか?』
しかし、サイガは膝を付いた状態であったがゆっくりと身体を起こした。
「あれを受けてまだ立つのですか!」
それを見てブリットは身構える。
「見事です、ブリット。」
ガク!
しかし、サイガはそのまま力尽きて倒れ込んでしまった。
その倒れた姿もまた格好いい。
『おーっと、サイガ立てない。先鋒戦は妖精剣ブリットの勝利だ!』
「やったー、一勝にゃ!」