第120話 レールガンにゃ
俺とブリットがマーリンの神殿を抜けて湖に来た時、マールは湖を渡り終えた所だった。
「御主人様、マールがあそこに!」
「このままじゃ、追い付けないにゃ!こうなったら、奥の手にゃ!」
俺は毛を抜くとふっと吹いた。
宴会の時よりずっと多い20人の俺の分身にゃんこが現れた。
「全員整列にゃ!」
20人のにゃんこが桟橋に2列縦に並び向かい合って立った。
そして全員で一斉に雷神にゃんこになると放電をはじめた。
パリパリッ!
「電光石火レールガン!」
俺は向かい合って放電している分身にゃんこの間に飛び込んだ。
バシュ、ビューン!
光に包まれ一気に加速した俺は湖を光線の様に越えてマールに迫った。
にゃにゃにゃにゃにゃー!
気配を感じて振り返ったマールであったが少し遅すぎた。
ドカーン!
マールと俺は激突していた。
余りのスピードに避けきれなかったのだ。
ゴロゴロ!
二人はもつれ合って転がった。
「追い付いた、にゃあ。」
ガクッ!
追い付いたものの俺はそのまま気を失ってしまった。
「何て夢中悪茶だ。」
ガクッ!
しかし、マールもそのまま気を失ってしまった。
マールと俺が気が付いたのはほぼ同時だった。
マールは俺が先に行っていないことを確認してほっとしていた。
「にゃんこ、勝負はまだついていないぞ!」
マールは走り出したがフラフラで走っているのがやっとの状態であった。
それは俺も一緒だった。
電光石火レールガンによる魔力の消費に宴会場の片付けで徹夜明けだったことから足元がふらついていた。
「負けるもんか!」
「それは、こっちのセリフにゃ!」
お互いに必死になりなって這うように進んで行った。
二人がぶつかった時のダメージが俺の方が多かったのかゴールであるマールの神殿の入口まで後少しというところでマールにリードを奪われてしまった。
「頑張って、来人!」
「後、少しです、御主人様の!」
修一とアリア、エリス、そしてブリットの声援が聞こえてくる。
そして、先に神殿にたどり着いたのはマールだった。
「やった、勝ったぞ。にゃんこ、お前の負けだ!」
遅れてたどり着いた俺にマールが勝ち誇って言った。
「いや、俺達の勝ちにゃ!」
「私が先にゴールしておりますので、私達の勝利です。」
俺とマールが気を失っている間にブリットがのんびりと待っている訳も無い。
当然、先にゴールしていたのである。
「そうか、気を失った時点で俺様の負けが決まっていたんだな。」
「そうにゃ、ブリットに先に行く様に話していたにゃ!」
「仕方がない、俺様の負けだ、先に進みな!」
「よし、残る神殿は、後一つにゃ!」