表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にゃんこ騎士冒険記にゃ!《異世界でゆるきゃらナンバーワンを狙う》  作者: 風丸
第3章 モルドーの町編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/277

第12話 ナザルの積み荷にゃ!

 ゴドーは動けなかった。


 赤毛の女の子を助け起こそうと片膝をついた瞬間、短剣が喉元に突きつけられていたのだ。


「声を出すんじゃないよ。あんたがナザルの積荷をリーンに運んでることは知ってるのよ。」


 赤毛の女の子は小声でゴドーを脅した。


 実は、ゴドーは赤毛の男が探しているナザルの積荷を、馬車の御者席の下に隠していた。


 それは「狂気のしずく」というブラックポーションの一種。飲んだ者を狂戦士バーサーカーに変え、死ぬまで暴れさせるという恐ろしい薬だ。ゆえに、その使用は禁忌タブーとされていた。


 ナザルは首都リーンを拠点とする闇ギルドのギルドマスター。暗殺、誘拐、盗みなど、あらゆる闇の仕事を請け負う組織の長である。


 ゴドーは闇ギルドのメンバーではないが、運び屋として依頼され、断ることができなかった。運んでいることがバレれば投獄される。しかし、断れば命がない。選択の余地はなかった。


 相手が何者なのか、なぜ自分がナザルの命令で「狂気の雫」を運んでいることを知っているのかは分からない。


 だが、ゴドーにとって闇ギルドの脅威よりも、今この瞬間の危機を乗り切ることの方が重要だった。


「馬車に……」


「馬車のどこ?」


「御者席の下の秘密の収納場所にある。」


「よし。」


 そう言うと、赤毛の女の子は勢いよく立ち上がり、ゴドーの腕を捻り上げて喉元にナイフを当て、叫んだ。


「兄貴! 薬の隠し場所が分かったよ!」


「了解した。」


 シデンと斬り合っていたデュークは、赤毛の女の子の声に応じて大きく後方へ跳び、間合いを取った。


 俺とフィーネ、シデンが声のした方を見ると、赤毛の女の子に腕を捻り上げられ、首にナイフを突きつけられている御者のゴドーの姿があった。


「このおっさんの命が惜しければ、武器を捨てな。」


 俺たちはゴドーと仲間ではないが、今まで馬車に乗せてもらっていたこともあり、多少なりとも情が湧いていた。


「シデン、フィーネ。しかたがない、ゴドーさんの命には代えられないにゃ。」


「そうね。」


「ここで戦いが終わるのは残念だけど、しかたないか。」


 俺とフィーネ、シデンは、武器を地面に放り出した。


「すまねえ、にゃんこの旦那方……」


「アリア、よくやった。お前たちも、いつまでも寝てないでこいつらを縛り上げろ。」


 デュークは女の子に声をかけた後、先ほど俺たちが倒した男たちに指示を出した。


「ナザルの悪党の手先をしてるお前らが悪いんだよ。」


 のそのそと起き上がってきた男たちによって、俺たちは縛り上げられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ