第117話 空色の神殿にゃ
「ふー、大変だったにゃ。」
俺が宴会場の片付けを終え、サラスの神殿を出発したのは明け方だった。
サラスの神殿からは次の神殿へ続く道は鉱山植物の花が咲く綺麗な道だった。
エリスが眠そうに目をこすりながら聞いてきた。
「次の神殿までは遠いの?」
「いや、そうでもないらしい。次の神殿は空色の神殿だそうだ。」
俺達は昼頃迄にやっと空色の神殿にたどり着いた。
神殿の入口にアリアと同じ位の年頃に見える甲冑を身に付けたブルネットの髪の少年が立っていた。
少年はまだ幼さは残るものの整った顔立ちの美少年であった。
「君、この神殿の試練の龍は中にいるの?」
アリアが少年に声を掛けた。
「遅い、待ちくたびれたぞ!」
「えっ!」
「ここは俺の神殿だ!」
「と言うことは君がここの試練の龍にゃ!」
「君じゃねぇ!俺様はマール!お前がにゃんこか。早速、試練だが俺様と競争をして勝てば合格だ。ルールは、簡単、ここから走ってアバランの所に行き、奴の顔に丸を書いてここまで戻ってくるだけだ。」
「え、にゃんだって?」
「分からなかったか?」
「いや、そうじゃにゃくてまた下まで戻るのか?」
「そうだが?」
「私、パス!来人達、頑張ってね。」
「私も!」
アリアとエリスが早々に辞退した。
「ここは俺達の中でも最速の来人に頑張ってもらおう。そう言う訳で俺もパス!走るのは、良いんだがアバランの顔に丸を書くのは気が引けるからな。」
「修一、ずるいにゃ!」
「御主人様、私は参加しますよ。」
結局、マールと競争をするのは、俺とブリットということになった。
「何だ二人だけか、まあ、良い。ただ、走るのは面白く無いから相手を妨害して良い。ただし道から外れるのと飛ぶのは駄目だ。」
「まあ、妨害って言ってもこっちはブリットがいるから有利にゃ。」
「それじゃあ、用意は良いか?」
「いつでもOKにゃ!」
「それじゃあ、そこの妖精、合図をせい」
「任せてちょうだい!それじゃあ、位置について、よーい、スタート!」
ドン!
俺とブリットそしてマールは、ロケットの様に走り出した。
マールを先頭に少し遅れて、俺、ブリットの順番だ。
マールは偉そうなことを言うだけに凄まじい速さで走っていく。
「速いにゃ、このままでは、勝てにゃいぞ。ブリット、電光石火行くぞ!」
「了解、御主人様!」
俺とブリットは、電光石火を発動した。
一気に加速した俺達はマールの背後に接近した。