第115話 雷獣捕獲作戦にゃ
フニャー！
雷獣にゃんこは宴会場をまるで酔っぱらったかのように走り回っていた。
ただ、巨体であったのでまるで嵐の様な有り様となっていた。
「止めろ、来人！暴れるんじゃない！」
「お願い！おとなしくして。」
修一とアリアが叫び声をあげた。
ニャーオ！
雷獣にゃんこはお構い無く走り回る。
この時、俺は全く意識が無い状態だった。
「いい加減止めんか！」
サラスは最初は俺に龍神水を飲ませた負い目から黙っていたが流石に堪忍袋の尾が切れ立ち上がった。
ニャ？
それを見ても雷獣にゃんこは全く動じることもなく自由気ままであった。
「このにゃんこが馬鹿にしおって！」
サラスは、雷獣にゃんこに飛び掛かった。
サラスの放った右のパンチを雷獣にゃんこは前足で軽く払った。
「くそ、にゃんこの分際で！」
サラスは、顔を赤くし更に連打を放った。
ニャニャニャニャ！
雷獣にゃんこはその連打さえも前足で軽く捌いてしまった。
「く、ここまでやるとは！」
サラスが驚きの表情を浮かべる。
「ブリット、俺達も来人を止めるぞ！」
「え、止めるのですか？御主人様楽しそうに見えますが？」
「来人は楽しいかもしれないが元に戻さないといけないだろ！」
「私としてはあのお姿も好きなのですが何時までもあの姿も困りますね。分かりました。」
修一とブリットが雷獣にゃんこの捕獲に加わった。
他の龍達が外周りを固める中、サラスと修一、ブリットによると雷獣にゃんこ捕獲作戦が始まった。
雷獣にゃんこは巨体の癖にとにかく素早かった。
電光石火が更に強化され速度が格段にアップしている。
龍神水により力が引き出されたのである。
「こうなったら、私も本来の姿に戻って！」
サラスが人の姿から龍の姿に戻ろうとしたのをお付きの龍達が慌てて止める。
「お止め下さい、サラス様！ここで龍体になられて暴れたら神殿が壊れてしまいます。」
「しかし、このままではらちがあかないぞ！」
修一とブリットも雷獣にゃんこのスピードに翻弄されている。
「修一にブリット、１秒でよい良い、にゃんこの動きを止めてくれ！」
サラスは一つの考えがあって修一とブリットに声を掛けた。
「１秒だな、分かった。！」
「任せて下さい！」
修一は足下に落ちていたホウキを拾い上げると雷獣にゃんこの目の前で振った。
「ほら、猫じゃらしだぞ！」
ニャ！
雷獣にゃんこの目がキラキラと輝きホウキにじゃれだした。
「今だ、ブリット！」
ガシッ！
ブリットが雷獣にゃんこの尻尾をしっかりと抱えこんだ。
ニャ？
雷獣にゃんこの動きが止まった。
「良くやった！」
サラスは首にかけていた小さな金色の鈴の付いた銀色鎖を外して雷獣にゃんこに投げつけた。
鎖は雷獣にゃんこの首にスルッとかかった。
同時に尻尾を抱え込んでいたブリットが振り払われていた。
ニャ？
雷獣にゃんこの首に掛かった鎖がみるみるうちに縮んでいく。
ニャー！
それにつれて雷獣にゃんこの身体も縮んでいく。
ニャーオ！
最後に大きく一鳴きして雷獣にゃんこは動かなくなった。
来人はにゃんこ騎士に戻って気持ち良さそうに寝ていた。
「来人、大丈夫なのか？」
「大丈夫、寝ているだけだ。」
来人は気持ち良さそうに寝息を立てていた。
