第114話 雷獣にゃんこにゃ
龍神水を一気に飲み干した俺が気を失ったため宴席は騒然としていた。
「サラス様、龍神水を飲ませたんですか!何てことをするんです。」
お付きらしい年老いた女性の龍がサラスを責めている。
「いや、まさかあの超絶に辛いものを一気に飲んでしまうとは思わなくてな。冗談のつもりだったんだが。今までも誰一人として飲める者がいなかったから。」
「サラス様、そんなことで龍神水を飲ませないで下さい。」
「そんなことより来人は大丈夫なのかよ!」
修一が流石に責任を感じているのかサラスに聞いてきた。
「分からん、お前も飲んだであろう。凄まじく辛いが毒では無い。死ぬことは無いだろう。ただまともに飲んだ者がいないのでどうなるか分からんのだ。」
その時、床の上に倒れていた俺が跳ね起きた。
「来人、大丈夫?」
「大丈夫か?」
「御主人様!」
しかし、俺は立ち上がったものの完全に意識は飛んでいた。
パリパリッ!
俺の身体から放電が始まり金色の光を放ち出した。
「離れて、御主人様が雷神化します!」
「フーッ!」
俺の口からうなり声が洩れる。
バリバリッ!
俺の全身の毛が逆立ち光を放つ。
雷神にゃんこだ!
しかし、今回はまだこれで終わらなかった。
「フーッ!フーッ!」
そこから、更に放電がはげしくなった。
「何かいつもと違うよ!」
エリスが叫んだ。
俺の全身の筋肉が脈動し、徐々に膨らんでいく。
爪と牙が伸びていく。
ドスン!
俺は両手の付いて四つん這いなっていた。
バリバリ!
更に尻尾が二つに割けて二股になった。
ニャーオ!
俺は体長十メートルの巨大な猫、放電する雷獣にゃんこになっていた。
雷獣にゃんこはまさにマタタビに酔っぱらった猫の様に足元をふらつかせながら楽しそうに辺り構わず走り回り出した。
悪いことに巨体がバリバリと放電するから宴席はパニック状態に陥った。