第109話 試練の結果にゃ
修一はキラーマンティスの攻撃に深手を負っていた。
俺は仲間の友達のピンチに何も出来ないお荷物になっている。
こうなって、俺は自分がグラスを持ったことを後悔した。
その時、キラーマンティスが動き出口へと続く道が開けた。
「来人、お前だけでも先に行くんだ。」
修一の言葉に俺の中で何かが弾けた。
「やってられないにゃ、仲間を見捨てて試練も何も関係ないにゃ!」
俺はグラスを投げ捨て剣を抜くとキラーマンティスに斬りかかって行った。
「来人、何やってんだよ!でも、お前らしいか…。」
そう言った修一の顔は笑っていた。
次の瞬間、辺りを眩しい光が包み込んだ。
気が付くと俺達は神殿の中の扉の前に怪我一つ無い状態で立っていた。
「ここは神殿?俺達、失敗したのにゃ、ごめん、俺のせいで…。」
「気にするなよ、来人。俺でも同じ様にしたよ。」
「マーリンさん、やっぱり試練は失敗…ですよね?」
「試練は……………………合格です。!」
「え、合格?でもグラスに水を汲んで来ることは出来なかったにゃ。」
「別に私はグラスの水を汲んで来るように言っただけですよ。逆にあなたが仲間を見捨てるようでしたら失格でしたよ。」
「それじゃ、俺達やったにゃ!」
「でも、これから本当に仲間を見捨ててでもやり遂げなければならないことが有るかもしれません。その時、どちらの判断が正しいのかは分かりません。私は目的の為に仲間を見捨てる様な人が嫌いなだけですから。」
結局、マーリンの好みの問題だったのかもしれない。
「この神殿を抜けて道を進めば次の神殿があります。あなた方がナーガ様に会えることを祈っていますよ。」
俺達はマーリンの神殿を後にして次の神殿に向かって出発した。
「しかし、私としてはマーリンさんとは戦ってみたかったですね。」
最近、あまり活躍の場が無いブリットが呟いた。
「へぇー、バトルマニアのブリットが戦ってみたいって言う位だからマーリンさんて強いの?」
「少なくとも、人の姿のままでもアバランよりは、強いでしょうね。」
「それは同感だにゃ。」
しばらく歩くと林を抜けて道は湖の畔に出て途切れていた。
「道が途切れているにゃ?」
「見て!船があるわよ。」
良く見ると道の突き当たりに小さな桟橋があり、手漕ぎの船が見えた。
「あれで渡れと言うことでしょうね。」