第105話 決戦修一対アバランにゃ!
アバランは冷静さを取り戻していた。
「そうやってふざけた態度をとるのも一つの策と言う訳か。」
「ばれたか。」
実際、修一に作戦等は無かった。
深読みするのはアバランの勝手である。
修一はわざわざ説明する必要も無いのでアバランに調子を合わせたのだ。
「まぁ、お前達が強くなっていることは良く分かった。俺も手を抜くのは失礼だな。」
アバランが身体に纏う魔力の質が変わる。
形態が徐々に変化していく。
スリムな西洋風のドラゴンスタイルから、盛り上がった筋肉の塊の雄牛の様なスタイルに変身した。
身体が一回り大きくなった。
これがアバランの本気形態なのだろう。
「それじゃあ、俺も本気モードといくか!」
修一の着た赤と青の派手なボディスーツが赤一色に変わっていく。
良く見ると赤く変わっただけでなく胸の星のマークが太陽に変わっていた。
「流星日輪モードだ!」
修一とアバランはお互いに向かって弾丸の様に突進した。
ガシンッ!
円の中心で修一とアバランの肉体が激しくぶつかり合う。
「この姿になった俺のぶつかりを止めるとは、口だけでは無かったようだな。」
「あんたもなアバラン、俺の日輪モードのタックルと互角にぶつかるとは驚いたよ。だがラガーマンが力を発揮するのはスクラムを組んでからなんだよ!」
「何!」
「うぉー!」
ズズズッ!
修一の押しにアバランが下がっていく。
ちなみに修一の日輪モードはパワーに特化していた。
「ぐ、龍の力なめるなよ。」
アバランが更に力を込めて押し返す。
修一の前進が止まり、逆にアバランが前進を始めた。
「修一、押されてるよ。がんばれ!」
「大丈夫だ。」
アリアの声援に修一が答える。
「この状況で余裕だな。」
すでに修一の円の縁にかかっている。
「いや、大丈夫なのさ!」
修一は、急に力を抜くと体をかわして、アバランを円の外になげた。アバランは修一が急に力を抜かれて体勢を崩していた。
ドドーン!
アバランは、頭から円の外に突っ込んでいた。
「やった、うっちゃりにゃ!」
「俺は相撲も大好きなんだよ!」