第102話 修行は大変にゃ
直ぐ様、ヨーザの修業が始まった。
「それでは修業を始める。お主らはわしのことをマスターヨーザと呼ぶのじゃ。」
「まあ、呼び方なんてどうでもいいけど。マスターヨーザ、俺達は何から始めれば良いにゃ?」
「まず、お主等は人外れて大きい力を持つ故に使い方が雑なのじゃ!つまり丁寧な力の使い方を学ぶのじゃ。先ずはこれじゃ!」
ヨーザが取り出したのは7色に輝く羽根だった。
「これは虹孔雀の羽根じゃ。この羽根は魔力を注ぎ込むと宙に浮く特性を持っておるのじゃ。」
そう言って手のひらに羽根を乗せた。
すると羽根がふわりと浮かび上がった。
「へー、面白そうじゃにゃいか。」
「これなら、私達にも出来そうね!」
「但し、注ぎ込んでやる魔力の細かい調整が難しい。これを自由自在に操れるの様になってもらう。」
「そんなの簡単にゃ!」
俺は虹孔雀の羽根を手のひらに乗せ魔力を込めた。
その瞬間、羽根はロケットの様に空に舞い上がり見えなくなってしまった。
「どうだにゃ!」
「どうだじゃないわ!吹き飛ばしてどうするんじゃ!」
その横で修一とブリットも羽根を空高く吹き飛ばしている。
「全くお前達は揃いも揃って脳筋か!」
「出来た!」
アリアの手の上で羽根がふわふわと揺れながな浮かんでいる。
「ほう、こっちのお嬢さんの方が素質がありそうじゃな。」
「アリア、凄いじゃないか。」
「えへん!」
アリアが自慢げに笑った瞬間、羽根はヒラリと地面に落ちた。
「最終的には意識せずとも羽根が空中に固定して動かない位にするのじゃ。脳筋の3人組はしばらく羽根に紐を付けてやるんじゃ!」
その時、ようやく俺が吹き飛ばした羽根がヒラヒラと落ちて来たところだった。
エリスと言えば羽根につかまって風と戯れている。
どうやら俺は力のコントロールをせずに垂れ流し状態だった様だ。
「しかし、羽根を浮かせることが出来たらどうなるんにゃ?」
「疑り深いのう。こういうことが出来るようになる。」
ヨーザは拳ほどの石を拾い上げた。
人差し指を立てると軽く石を突いた。
指は石が軟らかいスポンジケーキの様に抵抗も無く突き刺さった。
「力を一点に集中すれば少ない魔力でも容易く石に穴を開けることが出来る。使い方しだいでは剣を鉄に突き刺したり切断することが容易く出来るのじゃ。」
「凄っげー!じいさん、砕くんじゃなく穴を開けちゃったよ。」
取り合えず納得した俺達は羽根の修業に集中することにした。
まあ、強敵が出て来たら修業って話は御約束って奴でしょう。