第101話 マスターヨーザの修行にゃ
俺達はアリストン山に入って会ったアバランの試練をクリアすることが出来ずヨーザの小屋まで戻されていた。
「どうじゃ、まだまだ早いといった言葉の意味が分かったじゃろ。」
「うーん、力には自信があったんだけどな。」
「修一は一応、挑戦しただけ良いにゃ。俺なんか、何もする前に終わったにゃ。」
「これじゃ、先に進めないね。」
「そうよね、エリスの言うとおりね。私達でどうかなるレベルじゃないのかもね。」
「ちょっと待て、わしの言うことを聞かんか!」
「え、ヨーザさん。何か?」
「だから、山に登るのはまだ早いと言っておるのじゃ。そこの赤と青の派手なの、力自慢らしいがわしを持ち上げてみよ。」
「ヨーザじいさん、いくらなんでもそれは簡単だよ。」
修一はヨーザの脇を持ち軽く持ち上げようとした。
「ひゃひゃひゃ!」
ヨーザが笑い悶える。
「じいさん、ふざけてるのか。悶えるじいさんの姿は見られないぞ。」
「すまん、くすぐったくての。今度は笑わん。もう一度、やってみよ。」
再び、修一は、ヨーザの脇を持ち軽く持ち上げようとした。
しかし、ヨーザの身体はピクリとも動かない。
「じいさん、体重何キロあるんだ。」
「45キロ位かの。」
「嘘だろ、重すぎて全然動かない。」
修一は、顔を赤くして、ヨーザを持ち上げようとするが全く動く気配は無い。
「別にわしが重いのではない。お主が力の使い方を間違っておるのじゃ。実際、お前達は持っている力の10分の1も発揮出来ておらん。」
ヨーザは修一の身体を片手で軽く持ち上げると人差し指の上でクルクルと回転させた。
「わ、分かったから回すのをやめてくれ。」
ヨーザは修一の身体をひょいと地面に下ろした。
修一は、完全に目を回し、足元がふらついている。
「そこの猫ももっとスピードが出せるじゃ。」
気が付くとヨーザは俺の後ろに立っていた。
「いつの間に動いたにゃ。」
「そこの猫耳のイケメンもそうじゃ。そこのお嬢ちゃんと妖精も皆、動きに無駄が多いのじゃ。そこでわしが修行をつけてやろう。一週間で劇的にパワーアップをさせてやろう。」
「一週間?うさん臭いにゃあ。」
「わしは良いのじゃぞ。このままでは、山には登れんだけじゃがな。」
「しかたなにゃ。その修行ってやつ受けてみるにゃ。」
「よし、一人につき1万アインじゃ。今なら、テキストとヨーザ人形ストラップをつけてやろう。」
ちなみにアインは、この世界の通貨で1アインが1円位である。
「金を取るのかよ。」
「当たり前じゃ。ただの方がうさん臭いじゃろ。」
「修一、お金は、気にしなくていいわよ。経費としてカザン王に請求するから。ヨーザさん、領収書を下さいね。」
「アリア、しっかりしてるな。」
「カザン王の依頼で動いているんだからその位当たり前よ。」
「うーん、私もみならわなきゃね。」
エリスが変な所を感心している。
「それじゃあ、ヨーザさん、修行をお願いしますにゃ。」
こうして、俺達はヨーザの修行を受ける事となった。