表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にゃんこ騎士冒険記にゃ!《異世界でゆるきゃらナンバーワンを狙う》  作者: 風丸
第1章 にゃんこ騎士誕生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/277

第1話 コスプレをするにゃ

「おはよう、おばさん。来人らいと、迎えに来たんだけど、起きてます?」

理沙りさは玄関戸横のインターフォン越しに、来人らいとの母である里子さとこに声をかけた。

「ごめんね、理沙りさちゃん、来人らいとったらまだ寝てるのよ。部屋に行って起こしてくれる?」

「それじゃ、遠慮なく。お邪魔します。」

理沙りさは玄関の戸を開け家の中に入ると、まるで自分の家かのように慣れた様子で2階へと続く階段をかけ上る。そして、階段正面の来人らいとの部屋のドアを開けた。

来人らいと、入るわよ。」

理沙りさはそう言うと部屋の中に踏み込んでいった。

理沙りさの目に映ったのは、Tシャツにスウェットパンツとラフな格好でゲームのコントローラを握ったまま、床の上に敷かれた布団の上に突っ伏して寝ている1人の少年だった。

ちなみにこの寝込んでいた少年ってのが、この俺、この物語の主人公の来人らいと、18歳の大学生だ。

来人らいと、あんたまたゲームしながら寝ちゃったのね。さっさと起きて用意しなさいよ。」

「うーん。日曜の朝早くから何だよ。」

「やっぱり、忘れてる。今日はコミケに参加するんでしょ。」

「うーん。忘れてた。」

「とにかく、起きて、急いでよ。」

俺を起こしに来た女の子は、理沙りさ、同い年で同じ大学に通う、我が家のお隣さんで幼馴染だ。

理沙りさは子供の頃からアニメやマンガが好きで、コミケがある度に、同じ大学の同級生で共通の趣味をもつ親友の響子きょうことコスプレして参加している。

今回、人数が少なく寂しいからと、俺に一緒に参加してくれと誘ってきたのだ。

俺は顔出しNGの条件で参加することにしたのだったが、完全に忘れていたのである。

「どうせ着替えるし、その格好でかまわないから行くよ。」

俺は顔を洗う間も与えられず、半分寝ぼけた状態で理沙りさのバイクの後ろに乗せられ、コミケの会場に連れて行かれた。

会場に着くと、高校からの友人で遊び仲間の修一しゅういちが来ていた。

こいつも理沙りさに誘われてコスプレをすることになっている。

修一しゅういちにはコスプレ趣味とか無いのだが、理沙りさに好意を持っていて参加している。

俺たちのコスプレ衣装は、理沙りさ恭子きょうこ、そのお仲間の女子が準備している。

今日のコンセプトはファンタジー系のパーティーとのことだった。

理沙りさは魔法使い、恭子きょうこは戦士、修一しゅういちは拳闘士、俺はゲームのマスコットの猫のゆるキャラだった。

しかし、そのイメージは俺のファンタジー感とはかなりかけ離れていた。

理沙りさはゴスロリ風の衣装に、魔法少女が使うようなステッキを持ち、背中には黒い羽を付けた魔法使いだった。

恭子きょうこは赤い皮の鎧姿に、背中にバスターソードを背負った女戦士アマゾネスだった。

こいつは一応、ファンタジーの戦士の格好にはなっていたが、とにかく大きな胸を強調し、露出が多かった。

修一しゅういちはまるでアメリカンヒーローの様な派手なボディスーツを着た拳闘士だった。

修一しゅういち自身、ラグビーをやっていたため、長身のマッチョで、はまり過ぎていた。

そして俺は、銀色の騎士の鎧を身につけた愛くるしい猫の着ぐるみだった。

顔出しNGだと言ったせいだろう。

しかし、これのどこがファンタジー系パーティーなのか疑問である。

会場入りした俺たちの周りには、早速、人だかりができていた。

理沙りさ恭子きょうこはプロ並みの一眼レフを持ったカメラマンに囲まれ、慣れた感じでモデルの様にポーズをとっている。

少し離れたところで毛色の違う長身マッチョな修一しゅういちは、筋肉マニアな女子に囲まれ、俺は俺で、「カワイイ」と女の子に抱きつかれて着ぐるみの中で鼻の下を伸ばしていた。

そんな俺達は、大きな災難の予兆に気付いてはいなかった。

その日はいつになく暑い日だった。

会場には過去最高の人数の来客があり、凄まじい熱気が上がっていた。

その熱は上昇気流を生み出し、会場の上空に積乱雲が発生していた。

そして、突然、会場に竜巻が発生したのである。

会場は逃げ惑う人でパニックとなった。

気付いた時、俺は竜巻に巻き上げられていた。

クルクルと空中を回転しながら地面から遠ざかって行く。

理沙りさが何か叫びながら走って追って来るのが小さく見えたが、それも見えなくなった。

俺って猫の着ぐるみ着て死ぬのか!?

やがて俺の意識は途切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ