偉大なる種族
私は膨大な知識の蔓延る巻物達を整理していた。精神を未来へ飛ばし、頑丈な甲殻類に取り付く準備は既に出来ている。恐るべきポリプ状の怪物が地下の牢から飛び出す時が迫っているのだ。奴の巨大な口と身体は私達に脅威を齎す。黙って潰されぬよう電気を放つ銃等を創り出したが、奴等の群れが相手では話にならないのだ。数の暴力とは何時だって素晴らしい戦術である。何処の星の歴史にも載っている物だ。
私達はイスの偉大なる種族である。今は円錐形の身体に鋏が付き、触手じみた顔と器官を有しているが元は精神体なのだ。無数に存在する星の過去未来現在へと飛び、総ての知識を持ち帰る事が私達の趣味である。何処かで甲殻類が科学技術の結晶がどうだとか戯言を放っていたが、ユゴスに居るミ=ゴ共と私達を一緒にしないで欲しい。私達の知識を越える者は精々、這い寄る混沌ぐらいである。
知識量が無くても面白い星と云えば地球である。自らが支配していると高慢している人間と言う下等種族が度々私達に見窄らしい姿を見せてくれる。滑稽な奴等だ。這い寄る混沌から渡された破滅の道を辿らせる核を使用した莫迦共なのだ。時々私達も人間と精神を交換したりして戯れている。彼等には本当に飽きが来ない。感情とは私達にとって無意味なものである。種族の知識と繁栄を極めるだけが私達の存在意義なのだ。
宇宙には沸き続ける目眩く知識が犇めき合っている。旧支配者の面々はソレ等を総て齎してくれるのだ。私達は崇拝する気などさらさら無いが、知る事は少なからず可能である。然し例外として、沸騰する混沌の核で踊り狂う盲目白痴が単調としたフルートの音色に包まれていた。白痴である奴は、総てを夢として創り出しているのだ。ソレ等を含めたナコトは私達が書き記した素晴らしき宇宙である。
どうだい?私達の考えは素晴らしいと思わないか?君も試しに精神交換してみないか?まあ、最終的に記憶を消して元の身体に戻すだけだけどな。