子供
学校で見る温和な鷹霧が、あきらかに殺気をたてていた。なんていうか緑のオーラっぽい。
「君、いつもの退屈な生活にうんざりしてるだろう。」林がゆらりと言う。鷹霧は眉をひそめた。
たしかにそうだけどさあ。と、心のなかでいったようだ。へえ、そうなんだ。
「このビビリがっ!!」
「はあ!?」鷹霧ははっきりと声にだしていった。気分的には鷹霧の味方だ。今このタイミングで言うか!?それ。
と、突如「ぐう~」と漫画的表現なおなかの音がする。林だ。今このタイミングで鳴るか!?それ。
まあ、おなかもすいたし、座りながら話そうよ。とのんきに林はいう。確かに今までずっと駅構内で立ちっぱなしでつばめも疲れていた。だいいち真横は事故現場である。渋々、というかんじで鷹霧も同意する。
「どこがいい?」
だからあんたはのんきすぎるんだよっ!!ガキかっ!!
結局、希望も特になかったので、そこらへんの喫茶店に入る。
自分と鷹霧はジンジャーエールで、林はオレンジジュースだ。今の子供はかっこいいもの飲むねえ、と林が苦笑いする。
「それで、だ。どうすんの?」まだドリンクも来てないのに。
「親が心配します。」と、まっとうな理由をつけて鷹霧が断る。
「きみの両親は・・・もとい母親は今日、東京に演劇を見にいってるはずだ。」勝ち誇ったように林が言う。案の定、なんでそれを、と焦っているようだ。顔にでてる。
焦る鷹霧か。いま私めずらしいもん見たわ。