混乱
「『この男は何を言っているのだ』っておもってるでしょ。」と、名前は知らないが、なんとなく顔は見たことのある奴が、顎をウインドブレーカーに隠しながら言った。
はい、そうですとも。鷹霧はカフェオレ色のジャンバーのポケットに手をつっこみながら考えた。-こいつらは何者だ?
「ああごめん。僕は林。この子は・・・」
「北川です。」おのおの自己紹介され、しょうがないので鷹霧もしようとすると、
「めんどいならいいよ、鷹霧君。」
何故おれの名前を知っている。
「そりゃ警戒するよね」と、俺の心を読んだかのように、黒縁眼鏡の知らない男が言う。
はっきり言っちゃうとね、と。「僕は、ある程度先の未来のことがわかる、『不可視現実病』、簡単に言っちゃえば未来予知ができる、未来予知者なんだ。」
え。とまぬけな声を思わず出してしまう。なんじゃそりゃ。
「信じらんないよね。」と、へにゃへにゃため息するシーンは映画で何回も見た。そしてそのあと、そいつはこう言うんだ。
「けれども、」ほらね、やっぱり。
今度こそずばっと言います、と勝手に宣言してから、男は「君は、」とゆっくり言う。ごくり、と息を飲む。
「君は、不死病っていう病気に、ていうか能力をつけちゃったっぽいんだよ。僕の未来だと。」
少しだけ睨む。
「はっきり言って」「信頼できない。」最後の部分はヘッドフォン野郎とハモった。ヘッドフォン野郎が「『ヘッドフォン野郎』はひどい。」と、少し涙目でぶつぶつ言ったが、今回はシカト。
あああああああああああああっ!!なんなんだよこいつらはっ!!