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ひかりの声が聞こえる  作者: 平凡
日常とその応用
32/34

Pardon?

「君たちには、いや僕もなんだけど、悪いんだけどJMBと戦ってもらわないといけなくなるかもしれない」

林はさも当たり前のように言ったが、お口ぽかーん、だ。

「いや、ちょ、待て待て待て待て」

北川が光の速さで待ったをかけた。が、林は

「え?なんで?」

という反応だ。

馬鹿かこいつは。そりゃそうだろう。なんでもって中学生がそんな危険な団体と殺し合いしなきゃならないんだ。

「戦う、と今おっしゃいましたか?」

敬語こいつに使いたくねー!と思いながらもたずねる。念のため、たずねる。

「うん。まぁ、言ったねぇ。」

俺は深くため息をついた。

「君たちさぁ、僕をまるで悪魔みたいにおもってるかもしれないけどさぁ、僕一応未来予知できちゃうんだからね?後々起こる事をちゃんと報告してあげてるんだからね?そこら辺でもちょっと好感度上がっててもいいはず、と思うわけよ」

「無理無理絶っっっっ対無理」

やはり北川が即答ツッコミをみせる。

「ひどいなぁ…」

「ひどいのはあん…林さんでしょうが!中学生ですよ俺ら!?」

「でももう予知夢見ちゃってるし…」

「その結果までは見えてないんですか?」

「うーん、なんか一人死んでた気がする。女のひと。」

「あたしじゃないですか!!」

そうだ。そうなのだ。俺は不死者メモライザだから死ななくて、しかも女ってなったらもう北川しかいない。

「嫌です嫌です!なんで人生棒にふってあんたと関わらなきゃいけないんですか!!降ります。もう降ります!」

そう言って北川は車のドアノブをがちゃがちゃやり始める。ただ車がなかなかの速さで走っているうえに、信号もしばらく無いので本格的に降りるとごね始めるのもう少し先だろう。

とは言え、死人が出るというのに中学生巻き込んで「戦います」なんて馬鹿げてる度は林の方が百万倍上だ。

「あーもう、この車高いんだから乱暴にあつかわないでよ。」

「そこかよっ!」

「いやそれだけじゃないんだけどさ。」

「なにがあるってんですか?」

「いや、死ぬのは北川さんじゃないかもよ、っていう」

「どーゆう事ですか」

「いや、今車向かわせてんのは、新しい患者さんのとこなんだけど。」

話にあわせて首を左右に動かしていた俺もそこで動きを止めた。

今度は俺が聞く。

「…患者さんってそんなに多くいるもんなんですか?」

「いや、ここの地区だから多くいるんだと思う」

「どういう事ですか?」

「JMBの本部がここら辺だから…」

「はぁ!?本部の位置知ってんですか?!というか、近すぎやしませんか?!」

ツッコミどころが多すぎるんだよこいつの話は!!

「知ってるよ。そりゃ逃げてきたんだから。近すぎってのは、ここら辺でこの前黒石くんが自殺未遂…っていうか僕と始めて会った日の事故を起こしたからね。ここにいるだけ。僕だってこんなアジト激近な場所には長くいたくないけど、ワクチン候補が逃げたんじゃねぇ。」

「で、なんでここら辺は患者さんが多いんですか?」

「好奇心旺盛だねぇ。いい事だ!答えは簡単JMB関係者が多いから!!以上!」

俺は「ああそうゆう事か」とわかったが、北川はそうもいかなかったらしい。

「えーと、どういう事ですか?」

「わかりずらかったかなぁ?だから、JMBの影響を受けた人、例えばJMB職員だとか、JMBの実験に参加して記憶消されちゃった人、実験に参加したはいいけど素質がなかった人だとかが集まってるんだよね、この街。」

この時点で北川は「え?」という顔である。

「んでもって、その人たち同士で結婚して子供産むじゃない、すると子供にはもっと強い影響出てんだよね。で、積もり積もったりしちゃって、祝、患者化決定~、みたいな。」

北川はやはり理解していないようだったが、てきとうにうなずいていた。

「さて、そうこうしている内にそろそろだよ」

林はいつも通りのんきそうに言ったのだった。


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