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ひかりの声が聞こえる  作者: 平凡
日常とその応用
30/34

お呼びじゃないのよ

それは突然の出来事だった。まったくもって俺は油断していた。


「ひーさしぶりぃ」と林が声をかけてきたのは、俺がちょうど、十字路を左に曲がろうとしたときだった。

あともう50mほどで家だった。

無視してしまおうかとも思った。


「まあまあ、そーゆーいかつい顔しないでよ」


よくよく考えてみればである。なんで俺はこいつの話を馬鹿正直に信じているのだろう。

北川の読心術はともかく、俺の病気は確かめようがない。(確かめたいとも思わないが)

「まー、ちょっと、待ってみなさいよ鷹霧くん」

なんでそんなににこにこしてるんだお前は。

「最近どーですかぁ?」

こいつしばらく見ない間にもっとヤバくなっている。

うん。どうにかして逃げよう。そう思った時であった。


「あ。」

北川がちょうど視野に入った。北川とはまだ50mほど離れているため聞こえなかったが、あの口を大きくあけている様子から見て、彼女もまた、林という厄介な存在を発見したようであった。

「つばめちゃんも来たみたいだね」

これ以上俺に話しかけるな。また何かSFチックな訳のわからないことを言うんだろ。そうだろ。お見通しだぞ。

「あー、ちょっともー、どこ行くんだいー?」

北川が完全に見なかったフリをして俺と林の脇を通り抜ける。

「ちゃんと学校でも読心めるようにしてあげるからさ」

北川の肩がはっきりと跳ね上がる。

そしてゆっくり、ゆっくりと顔を俺の方に向けた。

…てめー学校で読心もうとしたな?

「さ、行くよ行くよー」

北川はその格好のまま例の真っ赤なスポーツカーに乗せられ、しぶしぶと俺も車に乗った。


「いやぁ、参っちゃったよ。」

車の中で林が発した第一声は、割と低いトーンであった。





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