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ひかりの声が聞こえる  作者: 平凡
日常とその応用
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空色のヘリと茶髪のオカマ

つばめが玄関を開けて真っ先に目にすることとなったのは、空色のきれいなヘリであった。

 ただ馬鹿な私でも気づいたのは、「・・・ふつう、ヘリって朝8時にこんな住宅街飛ぶっけ?」ということだ。事実、はた迷惑なことに、べべべべべ、と轟音をあたり一面に響かせている。向かいのおばさんも何事か、とベランダから空を仰いでいる。

 まあでもまずは学校行かなきゃ。そう思って歩き始めると、ヘリはつばめが小名木おなぎ文房具店を越えたあたり、まあ坂の中腹辺りで、ヘリは消えた。


さっきのべべべべ音は、半分徹夜に浸かっているようなつばめにとっては、文字通り、深い意味など全くなく頭痛を悪化させた。

「嫌がらせかよぅ」

力無くそうつぶやいて、敵は去った今、もはや意味などないけれど、ひじが耳の高さにくるような塞ぎかたで、両手を耳にあてて走った。


「あら、あんた何の宗教にはいったの?」

両肘が重くなっているのを感じながらも、先ほどと全く同じポーズで走って、いざ玄関に入ろうとしたところで呼び止められた。

「『はい来たー!来たよー!オカマだよー!』って顔で振り向かないでよ。」と、ふっ、と笑い、茶髪なショート・カットをなびかせながらながら私の担任、海老原茶太郎えびはら ちゃたろうは言った。因みに「茶太郎」なんていうぶっ飛んだ名前がついたのは、このオカマちゃんの家は茶道の家元をしているからである。ついでに金持ちだ。

「えー、そんな私意地悪な顔してましたー?」

「してたしてた!あんたもー、ゴール決める寸前の松本みたいな顔してたわよー!」

説明をするなら。松本というのはサッカー部のキャプテンである。

かなりの女好きで、付き合ってはヤって振られる、というのを2年の11月現在、4回サイクルしている。こいつの先輩にあたるのがいとしの日野原ひのはら先輩で。

「てかなんであんたそんなポーズしてたのよ。」

「いや、ほらさっきまでヘリがうるさかったじゃないですか。」

「へー、ヘリなんて飛んでたの。そん時ちょうど職員会議で見てないわ。何色?」

なんで何色なんて聞くんだろ、と思いつつも、つばめはヘッドホンをつけていなかったので、まぁどうせ気まぐれだろと「水色です。空みたいな綺麗な水色です。」と答えたら、案の上気まぐれだったようで、「えっ!?空色?あんた珍しいもん見たわねぇ」とケラケラ笑った。

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