音楽を聴きながら
北川つばめは音楽を聴いていた。SMAPを聴いていた。ゴロちゃんの声に自分の声をのせる。鼻歌ってやつ。
「古いね。」って言われる。「ゴロちゃんって正直微妙じゃない?」とも。
そう言われちゃうと、「そうなのかな」と一瞬たりとも思っちゃう自分が、昔から嫌で嫌でしょうがなかった。
そんな時、私は決まってバッティングセンターへ行く。無我夢中で、「でぇおりゃゃゃぁぁあ!」と奇声をあげながらバットを振り回す。まぁ大抵、空振りなんだけどね。
隣で5組の四谷と鷹霧が何か本を読みながらしゃべっている。えらく興奮している。
「これはすごい。欲しい。」
とかなんとか四谷は言い、あわてて鷹霧が、「え、どれどれ」とか言っている。しばらく。
なんかガキみたい。そう思いつつも、耳はもはやゴロちゃんよりもそちらに傾いていた。
「・・・心読病。あらゆる人の心の中を読むことができる。強いショックにより発病。又、その際につけていた物を事後に装着した時のみ発病する場合もある。5千万人に一人の割合で発病する。」
まずつばめの脳にひらめいたのは「えっ、先輩の好きな人わかるじゃん!」やつらは「あいつの好きなやつとか一瞬でわかるじゃーん!」とか言ってる。げ、八割おんなじ。
まったく。『全国統一中学生テスト2年の部』の全国4位がなにやってんだか。そろそろ行こうとしたところで考えた。
鷹霧優薫。あいつはこの学校でおそらく最も頭がいい。