顔
店から出て、果てしなく続くのではないか、というほどの長い、そしてまっすぐな地下街を深夜に歩いていた。男三人が約3m間隔で列をなしていた。かなりstrangeな光景であっただろう。
いい加減夜である。地下街はシャッターがおり、人は一人で無表情で歩いていた。この人達は何を考えているのだろう、と3m先をゆく北川を見るが、ノーリアクションだ。そもそもヘッドホンをしていない。
シャッターとシャッターのすきまほどの、細い細い地上に出るための階段があった。少しひんやりとした空気が流れている。
ずいぶん急な階段だ。思わず無言になる。・・・いや、正確には店をでてから一言もしゃべっていない。
いざ登りはじめると膝がわらう。ふと上方を見上げると林が出口で立ち止まっていた。驚く事に顔が笑っていない。
今にやにやしないでいつするんだよ!とひとりでイラっとする。
風は冷たかったが、空は澄んでいて、冬が近いことを匂わす。
駐車場はそこから2分ほどで、真っ赤なスポーツカーが一台だけ停まっている。・・・冗談だろ?
いまさら林がにやにやしている。
なんでついて来たんだろ、俺。