sound
「ていうか、なんで僕、ビビリ扱いなんですか。」
静かに、しかししっかりと鷹霧は言った。どうやらさっきの林の発言にややご立腹のようだ。
「だって、現状に満足してないのに、そっから逃げてるってことは・・・ビビリでしょう?」
でも僕もあんまりひとのこと言えないんだけどね、と苦々しげに林はいった。
鷹霧はしたくちびるを噛んでいた。
ドリンクがきた。
けれども、気まずい間は続いて。
つばめは無意識のうちにおしぼりをいじくっていた。だれかどうにかして。
今日。
ひとりごとのように林は言った。形容詞的には「寂しい」感じだ。林はどこか遠くを見ながら言う。
飛び込んだやつがいただろ?あいつはね、僕の患者のひとりなんだよ。
そこで彼はオレンジジュースを飲んだ。氷が、からんと音をたてる。
重いってのはこんな感じか。と、鷹霧までのんきなことをいいだす。
目の前のジンジャーエールがしゅわしゅわいっている。
彼のなまえはね、黒石護君。かっこいい子でね、タレントやってたの。
過去形かよ。ヘッドフォンから鷹霧のこころのこえがきこえる。
ちょっと待って。黒石って今あんたいった?