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雑談
『2030年あたりから、「空想上の病」とされている数々の病に非常に似た症状の報告がきこえるが、日本政府、及び国際保健機関は無視を続けている。』
学校からの帰り道の、長いくせにゆるい坂道を横ぎる交差点で、鷹霧優薫は、友達の四谷と、「謎の病」とかいうサブカル本を読んでいた。
「不死病ってこれ、すげえな。」
あるページで四谷が言う。
「不死病?・・・強いショックを受ける事で・・・・んーと、いち、じゅう、ひゃく・・・1千万人に一人の割合で発病。寿命が飛躍的に伸び、何をしても老衰(約3000歳前後)まで死なない・・・うん、すげえ。」
この文を読みながら、鷹霧は、おそらく、この病気になりたいやつとなりたくないやつは、ぱっきり分かれるだろうな、と思った。
「ヤサはこれ、なりたい?」
四谷に訊かれ、「ぱっきり分かれる」とか思ったくせに、意外と答えを出すのに苦戦する。
昔の夢は「ふろうふし」だったのに。