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 「あれれ、お2人ですか……申し訳ありません。お1人だと聞いてたもんで、1人部屋しか用意が無く……」

 宿屋の主人が宿帳を見て顔面蒼白になる。

 「ん?あー、いや、構わねぇよ。繁忙期だろ、よくあることだ。適当に寝るから毛布か何かを後で用意しといてくれ。」

 主人に頭を下げられ、案内された部屋はなかなか快適な部屋だった。

 扉には錠。古い木の匂いがするが、ボロいとは思わない。部屋はベッドと書き物が出来る小さな机があるだけだが、大人1人が寝れるだけのスペースは確保できる。手入れが行き届いているし、問題無さそうだな。

 「シャーリー先生、お荷物をこちらに!ベッドへどうぞ。」

 そう言って執事のつもりなのか、地面に自分の荷物を置いて両手の平を前に突き出し、ベッドを示す。

 「タルテ、そこをどいて自分の荷物をベッドに置いとけ。俺が床に寝る。」

 それを聞いて目をまん丸くして驚いているようだった。

 「え?いや、それは流石に!助手のワタシが床で寝て先生はベッドに!先生の頭脳の冴えが鈍ったら大変じゃないですか!」

 「子どもを地べたに寝かせるのは大人としてあるまじき、なんだよ。

 床で寝た程度じゃ頭脳の冴えは変わらんが、子どもを床に寝かせて自分だけベッドで寝っ転がるってなったら話は別だ。ホラ。それとも、俺の頭脳がそこまで信用できないか?」

 「う……わかりました。」

 渋々。渋いブドウの皮の裏を舌にこすり付けた様な顔をしてベッドに自分の荷物をあげた。

 こう言えば否定できないだろうとわかっていた。

 「さ、その代わりと言っちゃなんだが、お前さんにも探偵仕事(・・・・)を手伝ってもらうからな。

 行くぞ、『奇跡の調査』の始まりだ。」






 『奇跡の真偽を明らかにしてほしい。』

 俺の家に依頼人としてやって来た敬虔な神の信徒サマ2人はそう依頼した。

 昔から考えることと探すこと、それに観察が好きで得意だった俺は、皆が石をノミで削り、鍬で畑を耕す中、己に真実を探求する『探偵』という天職を与えて暮らしていた。

 俺をよく思ってない連中は俺を嘲笑(あざわら)っていた。蔑むことだってあった。

 そりゃそうだ、昔から変な奴に見えただろうが、ここまでだとは思ってなかったろうからな。

 だから、ヘソクリの場所や愛人の名前を言ってやった。

 俺は子どもの頃から明白過ぎて知ってたが、隠してるつもりだった連中は滑稽な顔してたぜ。

 「で、何の用だ?」

 目の前の貼り付いた笑顔でペラペラ喋る男に突きつける。

 「いえ、ですから先程申し上げた通り……」

 「『胡散臭い知識人気取りのろくでなし風情』を相手に随分へりくだった物言いだな。」

 顔色が変わった。

 コイツらはここに来る前、俺の家の近くでコソコソと相談をしていた。

 村の連中が怪しい奴が来ていると噂をしていた辺りから気になって、2人を尾行していたら、どうやら俺に用があるらしく、様子を見ていた。

 だが、片方は俺が言った台詞で俺を侮ってバカにして、もう片方も否定はしなかった。

 俺が真後ろにいる状態でそんな迂闊な発言をしてたんだ、こうなる。

 「も、申し訳ありません。」

 「いいや、別に俺とお前さんたちは現状赤の他人だ。赤の他人が馬鹿にしていても、知ったこっちゃない。俺は知っていたわけだが。」

 人をバカにした信徒への皮肉の一つや二つ、こいつらの神様も許してくれるだろうさ。

 「おみそれ致しました。無礼な発言は謝罪し、必要とあらば甘んじて罰を受けます。」

 溜飲が下がった。まぁいい。

 「罰は神様が下してくれるんだろう?なら俺はいい。それよりも、その面白そうな奇跡の話を教えてもらおうか。

 そして最初に言っておく、この後の話の内容がどうであれ、依頼料が幾らであれ、俺の答えはたった一つ。

 『依頼は引き受けた。』ってな。」



 そんな訳で、敬虔な信徒には出来なかった奇跡の真偽を調査すべく、ビグマリオン王が治めるビグマリオン王国へとやってきた訳だ。

 ちなみに払いは良かった。宿は手配してもらえたし、報酬も人一人が十分遊べるだけあった。



 「食べ過ぎだ。」

 財布がもう心許ない。

 「つい……」

 健啖家が過ぎる助手と共に王城へ向かう途中、あちこちの出店に足止めをされ、到着に時間がかかった。

 城門の前は人でごった返して、歓声が耳朶を打つ。溢れんばかりの人、人、人。

 城門の上には上等な服と冠や首飾りに身を包んだ男女が二人、その横に子どもが3人。

 皆楽しそうに笑って手を振っている。

 「これが結婚10周年記念か?どっちかっていうと戴冠式のそれだろ……」

 城門の人ごみに押し潰され、そこから逃れるべく路地に入る。

 「大人気ですね。」

 「異常なまでにな、神様ってのは気前が良いな。」

 「え?」

 「祝ってる連中が着てるモノ。衣装って程じゃないが、ボロは着てない。

 お前さんが喰ってきたもの、それなりに安くてモノは良い。

 人は皆笑ってて、栄養失調ってこともなさそうだ。

 宿だって、ここ来る前にこっちの不手際を怒りもせずに毛布と、下に敷くものまで寄越した。

 余裕のある奴らの暮らしぶりだ。ウチの地元と比べたら、羨ましいったらない。

 だから思ったのさ、神様の祝福ってのは中々長く続くもんだな……ってな。」

 「なるほど、そうなんですね……。じゃぁ、少ししたら私達も行きますか!」

 「行く、どこへ?」

 「あれ、ドロテア妃に会いに行かないんです(・・・・・・・・・・)()?てっきりそのために来たんだと……」

 「は?」


 いまいちタイトルのつけ方が解らないので、改案募集中です!

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