プロローグ~(1)まで
プロローグ
21xx年。今のこの世には義務教育なんてモノは存在しない・・・。
だが、学校という存在が無くなったわけでもないし、学生という職種も残っている。しかし、学校に行く事のない、者は国の命令によって抹消させられるのだ。つまり、学校に行くか、死ぬかという選択になるわけだ。
今までもその「死の選択」で政府から追われて死に堕ちたという話も例外なく行われる事でその事についても、それが普通であるというように一般の人も思い込む時代であった・・・。
(一)
午前中にあった、重々しい入学式を終え教室で先生の話を聞くフリをして、これから始まる、学校生活に胸を踊らせているのは僕だけなのだろうか。この新しいクラスで、多少人見知りの僕が何人もの友達をつくれるのだろうか。と、考えているのは、僕だけなのだろうか。
そんな、くだらない妄想にふけて中学校生活の初日を終えた。
ほとんど、先生の話を聞き流していた僕だったが、次の日もその次の日も、しっかり登校時間を十分近く余裕をもって学校に着く事ができている。
ただ、友達をつくる事のないままの生活を送り続けて、早くも中学校一年生の二学期を向かえていた。
突然だった・・・。先生からの報告。いや、宣告なのだろうか。
「来週からの『陣地取り大戦』は、お前も出る事になっている。今回のはもの凄く大切な戦争だからなっ。くれぐれも、失敗はするなよ。」なんて理解のしかねない、台詞で告げられた。何を言っているんだ。戦争・・・。良くない想像ばかりしてしまう。きずくと僕は咄嗟に確認していた。
「戦争?大戦?あ、あの先生は何を言っているのですか?」
先生は笑っていた。まるで、何も知らない僕を嘲笑うかのように。それとも罵っていたのかもしれない。
そんな先生の口が開き、僕は先生の話を一通り聞いた後、僕の耳は何ものも拒むかのように、すべての音を遮り本来の耳としての役割を果たしてはいなかった・・・。
数秒たった後にようやく先生の言っている意味が、不可思議ながら理解できた。つまりこうだ。
この学校は、いや今の日本の学校は他の学校同士で、争い、殺し合いを生徒にさせて他校をつぶして学校そのものの権力を高めさせている。そしてその戦争ゲームで培った経験を大人になった時に他国への戦争のキャリアにしているというわけだ。
その為に、必要な覚悟を図る為に、今のこの世は「義務教育」ではなくなったのだろう。僕は今ここでようやく今の日本の実態を理解できた。
先生は間をとってから、話を再開した。
「くれぐれも、逃げるような真似はするなよっ・・・」
どうやら先生が言うには、戦争の出場を拒否。もしくは本校への裏切り的行為をした生徒は即刻「Level2」のペナルティを課せられるらしい。
「Level」とは、この学校特有の文化で学校政府の意見・意思に反した生徒に与えられるペナルティで、生徒は略して「LV」と呼ぶ。このペナルティは、「Level1」でまた、一回分強制的に戦争に出場しなければならないらしい。しかも、地上の銃撃戦でだ。
地上の銃撃戦は、空からの爆弾投下よりも無駄に資源を使わずにかつ適格に殺傷できる。が、その分
自分が殺される確率も高いだろう。何故なら、防ぐ盾のような物も持たされないし一番悲惨なのは見方が投下した爆弾の爆風に巻き込まれて死ぬということもある。
しかも、「Level5」に達した生徒は公開処刑されるという特典付きならしい。
どうやら、LVをもらうという事はなにがあっても避けないといけないことらしい・・・。だが、僕にとってはそんなモノもはやどうでも良かった。僕はすでに決意していた。
「この異世界から、脱出してみせる。しなければならない!!」
という風に。LVなど関係ないかの用に、僕の心に迷いはなかった。
だが、校舎の外にも学校政府の警備がたくさんいる。
さぁ、どうするべきか・・・?