8話 周りがチート。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ここで書くべきではないかもしれませんがブックマーク四件と、感想ありがとうございます。
うれしすぎて一回、そっ閉じしました。
本当にありがとうございます!!
きょうがゴブリンを蹴散らしてくれたのはありがたいが、倒したことを証明するために右耳を持ち帰らなければならないらしい。
つまり、この血まみれの死体たちの中から右耳だけを取っていかないといけない。
「グロ......」
そう。結構グロい。
耳を切ったゴブリンは全部サハラに回す。
小さいゴブリンと味に差はあるのだろうか。
サハラは次々と毒漬けにして食べている。
きょうはゴブリンを運ぶのを手伝ってくれる。
ゴブリンを見ないようにしたら二匹ともかわいい。
協力して集め終わった耳の数は30近くあった。
少なくとも30匹のゴブリンが横にいるかわいいきょうに瞬殺されたなんて信じられない。
サハラはもう満足したのか、毒漬けゴブリンを食べるのをやめていた。
もう特に用はないので街に帰ることにした。
ちなみに倒したゴブリンは一定時間たつと消えるらしい。
だが、毒や何かのデバフがついているのは消えない。
よくは知らないが。
サハラはよほど満足したのかご機嫌だった。
稼いだお金でサハラ用の馬小屋が作れるといいんだけど。
ガサガサっ!!
横の茂みから音が聞こえる。
サハラが止まってきょうはその茂みを警戒していた。
可能性として一番高いのはゴブリン。
何が出る......!
その茂みから飛び出してきたのは、
「羊!?」
そう、かわいいもふもふの羊だった。
警戒しているのかわからないがなんか毛が少し光っている気がする。
かわいい。
ぜひともモフりたかったがきょうを見るなり逃げて行ってしまった。
まぁそりゃ、覚悟を決めて茂みから出てきたのに唸ってる狼がいたら怖いよな。
俺も逃げる。
しょうがないので羊は諦めて街に戻る。
「かわいかったなぁ......」
いや、俺にはサハラもきょうもいる。
羊がいなくてもかわいい子が近くにいるし、もふもふもいる。
諦めよう。
街についてギルドで報酬をもらうと、4万とか5万とかになった。
普通、ゴブリンの群れは15匹前後らしく知らない間に二つの群れを倒していたらしい。
怖......
それはそうとうれしい誤算が出てしまった。
まぁこの誤算はサハラの馬小屋建築費にあてるけど。
羊用の柵もほしいなぁ。
おっと、羊は諦めたんだった。
危ない、危ない。
とりあえず、このままこんな感じでクエストをクリアしていったら思っていたより早く馬小屋を作れそうだ。
初めて、討伐クエストに出てから早二か月。
一週間に5回くらい、同じ感じのクエストをクリアしてたら建築費が貯まった。
ちなみにあの時以来、羊は見ていない。
もしかしたら、レアな子だったのかもしれない。
閑話休題。
俺は今、大工を探して街に来ていた。
きょうはお留守番でいない。
アレンさんによると、建築関係のお店があるらしいが......。
この辺に新しく何かを立てる人がいなくて大工が減ってきているらしい。
どこの世界でもこういうのはあるんだな。
アレンさんに教えてもらったお店はこのあたりにあるはずだが。
お店のような建物はない。
ここは住宅街に近い区画だから当たり前と言えば当たり前だ。
「間違えたかな......?」
一回、来た道を戻ってみるか。
「お客か?」
突然、後ろから声がかかる。
何かと俺は自分で店を見つけたことがない気がする。
俺が振り返ると、赤い髪をポニテで結んでいる女性だった。
「大工さんを探してるんです」
「じゃあ、うちの店ことだな。私はラズ。何を作りたいんだ?」
「俺は啓介です。家の近くに馬小屋を作りたくて」
「わかった。早速、立地を見に行こう!」
「え、はい!」
勢いで返事してしまった。
急だな、この人!
住宅街の区画から街の門までは遠い。
やっと、街を出ることができた。
しかも、ラズさんが早歩きで歩くから余計に疲れた。
アレンさんに預かってもらっていたサハラを受け取る。
「アレンのおっちゃん。私の子も出して」
「おぉ、ラズじゃないか!久しいな」
アレンさんとラズさんは知り合いなのか。
まぁ店紹介してくれたのアレンさんだしな。
俺がサハラに乗って外で待っていると、ラズさんは栗毛の馬に乗って店の裏から出てきた。
「行くか!」
「はい」
何も話すこともないし気まずかったが少しするとラズさんがしゃべりだした。
「私は父の跡を継いだんだが、依頼がなくてね。
こんな大きな仕事は久しぶり、だけど任せて。
あんたが気に入るものを作るから」
「お願いします!」
久しぶりという言葉を聞いて大丈夫か?と思ったがなんとなく、この人ならいいものを作ってくれそうだ。
楽しみにしておこう。
サハラのことやどんな感じにしたいのかを話していたら家に着いた。
「ここなんですけど」
「具体的にはどこら辺に作りたいの?」
「家の横ぐらいに立ててほしいんですよね」
「なるほど、サイズは?」
「サハラが一匹入ればいいんですけど」
「それなら、一か月もかからないで作れるな」
「本当ですか!?」
よかった。この前、雨が降った時は家に入れたが狭そうにしててかわいそうだったから。
サハラには本当に申し訳ない。
ラズさんと費用や詳しいことを諸々決めて、早めに立ててもらうことにした。
ラズさんが明日からでもいいというので明日から。
サハラが気に入るといいけど。
ラズさんに馬小屋を依頼してから一か月半。
サハラの馬小屋ができた。
本当は一か月でできたのだが。
ではなぜ、半月必要だったのか。
それは......!
羊用の柵を作ったから!
サハラにもきょうにもあきれられてたが、そんなこと知ったことじゃない。
サハラときょう以上とは言わないがかわいかった。
忘れられなかったんだ、あの羊が!!
まだ、羊はいないが近いうちに探しに行こうかと思っている。
いざ、羊狩りへ!!
「とりあえず、ツッコみたいことだらけじゃな」
天界で神様は啓介の様子を観察していた。
サハラを仲間にしたところまではまだわかる。
わしが与えた愛されスキルがあればレアモンスターにも出会うじゃろう。
「あのきょうってモンスター、わしも知らないんじゃが!?」
神様が怒ったようにジャンプすると長く黒い髪が揺れる。
神様を知らない人が見たら小さな女の子が怒っているようにしか見えないだろう。
「あんなモンスター、ぶっ壊れだよぉ!
あんなに世界バランスの調整頑張ったのに!!」
「はっ!いけない、いけない。わしは神様じゃ、威厳を保たねば......!」
神様は腕を組み、もう一度世界が見れるモニターに目を向ける。
「話を聞きにいかねばならんな。」
読んでいただきありがとうございました。次も楽しんでいただけると嬉しいです。