5話 草を摘むだけの簡単なお仕事です!
ここまで読んでいただきありがとうございます。楽しんでいただけたら嬉しいです。
薬草を摘むクエストは簡単だったがあまり収入はよろしくない。
いや、もしかしたら結構良い方なのかもしれないがサハラのご飯や寝るところを考えると足りない。
しかし、他に仕事が見つかりそうもないのでちょっとずつお金をためていくしかない。
と言うことで今日もせっせと草をむしっています。
俺が草をむしっている横でサハラが気持ち良さそうに寝ている。
かわいい。
働いていて分かったことが一つ。いや、二つくらい。
一つはこの世界のお金の価値
銅貨一枚が日本円で言う百円。
銀貨は千円、金貨は一万円と言った感じだ。
ちなみにこの仕事は一回五千円。
そう考えると割と良い仕事なのだろう。
二つ目は、モンスターのこと。
この世界には動物とモンスターがいるらしい。
動物はもとの世界の子達とさほど変わらないようだ。
モンスターには友好的な子もいるらしい。
例を挙げるならサハラがそうだ。
だが、魔王の部下と言うか魔王に仕えるモンスターは攻撃的らしい。
気を付けろとアレンさんが言っていた
だが、俺には天下の愛されスキルがあるから心配はない。
と、そんなことを思っている間に仕事を終え冒険者ギルドに到着した。
ギルドは相変わらず剣や弓を持った強そうな冒険者がたくさんいた。
「おーい!ケースケ!」
声をかけてきたのは金髪にデカイ鎧の主人公的な男。
こいつは、この前に知り合った冒険者の友人のアベルだ。
こんなにガチガチの装備のくせにモンスターが怖くてクエストが出来ないG級クエスト仲間でもある。
「ケースケはいいよなぁ。サハラがいて」
「なんで?」
「あの薬草取る場所、遠いだろ?
俺なんて一日かけて歩いていくんだぞ。モンスター出てきそうで怖いんだよ」
「あぁ、そういうこと?かわいそうに」
俺はそういって受付のほうに歩いていく。
「おい、冷たすぎるだろ!ケースケ!」
アベルが後ろでそう叫んでいたが面倒くさそうなので俺は立ち止まらずに受付に向かった。
受付にはいつものお姉さんがいたのでさっき取ってきた薬草が入った巾着をポケットから取り出す。
「これ、お願いします」
「G級クエストですね。少々お待ちください」
受付のお姉さんに薬草を渡す。
間違えた薬草を取ってきていないか確認しているらしい。
あ、アレンさんにサハラの鞍がいつごろできるのか聞いてこなきゃな
そんなことを考えていると後ろから肩をたたかれた。
「ケースケ、お願いだ。サハラに乗せてくれ!」
「歩いて行けよ」
「時間も金もないんだよ。頼むぜ親友!」
「まだ出会ってから二日くらいだろ」
「そこをなんとか!」
「討伐クエストを受けるんだな」
「怪我したらどうすんだよ!」
そんなことを言い合っていると受付のお姉さんが終わりましたと言って俺に報酬を渡した。
それをしっかり受け取った俺はお礼を言って受付から離れた。
アベルはまだついてくる。
「俺は別にいいんだけどサハラが許すかわかんないぞ」
「それでもいい!というかそれなら諦める!だから頼む!」
「はぁ、わかったよ。明日でいいか?」
「いいのか!?ありがとな親友!」
「だからまだ出会って二日だって」
アベルは細かいことは気にすんなというふうに俺の背中をたたいてギルドから出て行った。
アレンさんもまだサハラには乗れたことがないらしい。
アベルのこと乗せてくれたらいいけど。
「まぁ、帰るか」
そう呟いてから俺はギルドから出て行った。
昨日、買い物も済ませたのでまっすぐアレンさんのところに行ってサハラを受け取って帰る。
サハラは俺が振り落とされないように徐々にスピードを上げてくれている。
本当にかわいい。
家に着き最初にすることはサハラのご飯だ。
サハラはさすがに家には上げられないので外で過ごしてもらっている。
幸運なことにまだ雨は降っていないが屋根がないので申し訳ない。
あ、そうだ、鞍のこと聞くの忘れてた。
まぁ明日聞けばいいか。
そうこう考えているうちにサハラの夜ご飯の野菜が切り終わった。
外に出てサハラの前にご飯を置いてまた家に入る。
特にすることも何もないのでもう寝ることにした。
サハラがアベルを乗せてくれるといいけど。
そう思い眠りについた。
次の日の朝。
俺はほぼニートみたいなものなので朝は遅い。
さすがに昼に起きるみたいなことはないが元の世界で言う10時くらいにいつも起きている。
朝ご飯は食べないので起きて少ししたらバッグを持って家の外に出た。
サハラは起きていて遅いというように俺のほうを見ていた。
「ごめん。行こうか」
そういって俺はサハラに乗って街を目指した。
あったばかりのことは簡易的な鞍もついていなかったしあまり馬に乗った経験がなかったのもあって街までゆっくり行っていたが今では家から街まで20分かかるかかからないかの速度で行けるようになった。
サハラの背中に乗っていると風が適度にふいて気持ちいい。
たてがみがなびいていてサハラの目が見える。
きれいだしたてがみが邪魔で前が見えずらいだろうなと思って一回、切ろうか?と言ったことがあるが嫌がったのでやめにした。
まぁサハラからしたら困っていないということだろう。
少しするとアレンさんの店が見えてきた。
サハラが少しずつスピードを落とす。
そして、店の前で完全に止まった。
「ありがとう、サハラ」
サハラは何も反応してくれなかったが少しクールな子というのはわかっているので悲しくはない。
「おはようございます。アレンさん」
「お、来たか!今日も預けるか?」
「はい、クエストに行くのでそれまでよろしくお願いします。」
「任せとけよ!」
「あと、鞍ってあとどのぐらいでできそうですか?」
「鞍か?そうだな、あと三日は待ってくれないか?」
「全然大丈夫ですよ。作ってくれてありがとうございます」
俺はサハラを預けてギルドに向かった。
ギルドにはすでにアベルがいた。
「アベル、おはよ」
「ん?ああ、おはようケースケ!もう、二人分のG級クエスト受けといたぜ」
「ありがと」
「早速行こうぜ!」
アベルはギルドから出ていった。
俺も後を追ってギルドを出た。
ちなみにアベルにサハラを見せたことはない。
アレンさんによるとレアモンスターだというサハラにびっくりしなければいいけど
街から出てサハラを受け取る。
「今日もG級クエストか?」
アレンさんが手綱を渡しながら俺に聞く。
「はい、今日は友人と行こうかと思って」
そういいながら隣にいるアベルを指さす。
「サハラでか?」
「はい」
「難しいんじゃねぇか?サハラに乗れるかどうか......」
「そうですよねぇ。まぁ試してみるだけ試してみようかと」
俺が先にサハラに乗る。
嫌がっている様子はない。この調子ならいつもの場所まで走ってくれるだろう。
アベルが気に入られればの話だが。
「アベル、乗ってみてくれ。」
「おう!」
アベルがサハラの鞍に足をかける。
そして背中に乗る。
アレンさんに事前に聞いたがサハラは大人二人が乗るぐらい全然大丈夫らしい。
サハラがアベルを振り落とす様子はない。
サハラは少し後ろを見てアベルを見る。
だが、それは一瞬ですぐに前を向きなおした。
「乗れてるな、走ってくれると思うぞ」
アレンさんがそういう。
「マジで!?俺、モンスターに乗るの初めてなんだけど!よろしくな、サハラ!」
アベルはそういってサハラをなでる。
「よし、じゃあ行くか」
俺がそういうとサハラが走り始める。
アレンさんが行って来いと言ってくれた。
それにしても、サハラが二人も乗せてくれるなんてなんていい子なのだろう。
天才過ぎないか......?
読んでいただきありがとうございました。次も読んでくれたら嬉しいです!