4話 お金は大事です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。このお話も読んでいただけると嬉しいです。
サハラを預けて街に入った俺は、市場を見ていた。
サハラの鞍がいくらかかるのかわからないので安易にはお金が使えない。
だが、さすがにご飯は買う必要がある。サハラの分と俺の分。
サハラがどれだけ食べるのかわからないが、今日のところはとりあえず大量に買っておけば大丈夫だろう。
サハラの好みもわからないな。
というか、売っている野菜が見たことのあるものから見たことのないものまであるのでどうしていいのかわからないのが本音だった。
とりあえず見たことある気がするのを買って食べてみればいいか。
まぁ、死ぬことはないだろう。
「とはいえ知らないものを買うのは怖いな」
そんなことを呟くと店の奥から話しかけられた。
「そこの方、お困りで?」
そう声をかけてきたのは野菜やなんなのか検討も付かないものを売っている店のおばちゃんだった
「あ、はい。分からない食べ物ばっかで」
「よその土地の人か。うちは珍しいモンばっか売ってるからね。見たことあるモンがあるかも知んねぇな」
怪しいとは思うがあてもないので入ってみることにした。
ふらふらしていてもしょうがないし
店に入ると最初に目に入ったのは薄い緑色の丸い植物。
布の上に大量に転がっていた。
あれは…?
キャベツだ!
と言うことで、キャベツらしき野菜をゲットすることに成功した。
よく見てみるとこの店には見覚えのある野菜が所々にある。
にんじん、りんご、とうもろこし…など
味が一緒なのかは分からないが知らないものより食べる気になる。
とりあえず、りんごやキャベツを購入することに成功した。
そうなると、主食がほしい。
肉も買わなくては。
そう考えるとお金が大分必要になるな。
街でパンとなんの肉かは分からないが買うことが出来た。
財布を見てみると、まだ残ってはいたがサハラの鞍代を考えると無いに等しい。
ベッドも買いたかったが今日のところは買えないな。
仕事するしかないか
異世界の仕事ってなんだろうか?
思い出せ、あのアニメの主人公はなんの仕事をしていた?
ダメだ、あいつは王族だった。
存在することが仕事みたいな感じだったから死ぬほどあてになら無い。
そんなことを考えながら街を歩いていると、大きな建物が見えた。
すごい大きいのかと聞かれたらそうでもないかもしれないが、周りの店よりはでかい。
なんだろうと思いながら入ってみる。
店の中の中央にはでかい看板が一つ立っていた。
そこには、F級やらA級やら書かれた紙が張ってある。
これは、
冒険者ギルドじゃないか?
なるほど、これならクエストをクリアしたらお金が入る。
いや、よく考えたら俺がモンスターを倒せるのか?
無理だな。
諦めよう。
いや、聞くだけ聞いてみたら…
簡単なのもあるかもしれないし…
よし、聞いてみよう!
何より、金欠だしな。
仕事もないし。
そう思いながらカウンターらしきところに近づく。
カウンターにはお姉さんが立っていて受付をしていた。
「あの、すいません。簡単なクエストとかありますか?」
「ありますよ。初めてのご利用ですか?」
「はい、あんまり戦えたりしないんですけど」
「大丈夫ですよ。まず、登録をしましょうか。貴方のお名前は?」
「西城 啓介です」
「西城さまですね。ここのギルドでは冒険者のランクに合わせてクエストが選べます。
最初はGランクです。クエストをこなしていくごとにランクが上がります。」
「分かりました。ところで、簡単なのって?」
「そうですね、薬草摘みとかどうですか?少し遠い場所にあるので皆さん嫌がるんですが…」
そう言われたが、俺にはサハラがいるしそれに薬草を摘むだけでお金が入るなんてそんな楽な仕事は他に無いだろう。
「そのクエスト、受けたいです!」
ずっと冒険者をやるわけではないがお金を稼ぐにはいいだろう。
お金がないので早速摘みに行こう。
足早に街を出てアレンさんのところに向かう。
まぁ鞍が付いていなくても乗れないことはないだろう。
サハラの気分しだいだけど
街から出てアレンさんのお店に入る。
だがアレンさんはいなかった。
「アレンさーん?どこですかぁー」
「こっちだ!店の裏の馬小屋だ!」
なんか手が離せないような感じなので馬小屋に行ってみよう。
サハラを受け取らないといけないし。
小屋の方に行ってみるとアレンさんが待っていた。
店の方にきてくれてよかったのに。
「すまねぇな、俺がひいてもサハラが動こうとしなくてよ。よっぽどケイスケは好かれてんだな」
なるほど、それは店の方には来れないな。
「サハラがすいません」
「それより、ちょっときてくれ」
心なしかアレンさんが楽しそうな顔をしている気がする。
そんなにサハラは珍しい種族なのだろうか?
「鞍はまだ出来てねぇんだが、取りあえず仮を着けたから出来るまではこれで我慢してくれ」
「え、ありがとうございます!」
サハラには普通に乗れそうな鞍がついていた。
アレンさんが言うにはこれでは強度が足りないそうだ。
しかし、普通に使うことが出来るだろう。
「まだ仮だからな。無理はさせるなよ」
「分かってますって!自分より大事にしますよ!」
「お、おう。大事にしろよ。しばらくかしてやるから」
「冒険者ギルドに登録したんで薬草摘み行ってきます」
「行ってこい。気を付けろよ」
「はい!」
俺はサハラの鞍についている足を掛けるところに足を掛けて気合いで乗る。
サハラが嫌がってなさそうなので大丈夫だろう。
俺はもう一度振り返り礼をしてから進んだ。
アレンさん、テンションが上がりすぎてすごい鞍を作らないといいけど。
多少高くなっても可愛いサハラのためだったら大丈夫だが高くなりすぎては困る。
サハラのご飯も買わないといけない。
俺のご飯は抜いてもいいが、サハラにひもじい思いをさせるわけには行かない。
閑話休題
今は、(おそらく)気をつかってサハラがゆっくり進んでくれているが少し遅い。
「もう少し早く走れる?」
俺がそう言うとサハラはチラッと俺を見て次に手綱を見た。
ちゃんと握っておけってことか?
俺は手綱をギュッと握った。
それを見たサハラは前を向いて頭を少し下げる。
あ、これ、やばい奴じゃない?
そう思った瞬間には俺は悲鳴を上げていたと思う。
「遅いって言ったわけじゃないんだよ~!
ごめんってサハラ。」
俺の言葉を煽りとして受け取ったのかサハラはトップスピードで走り出した。
俺が悲鳴を上げるのを予想していたのかすぐにスピードを落としてくれた。
そして俺は現在、弁解をしている。が、許してくれない。
そんな意味で言ったわけじゃないのに…
どのぐらいスピードが出ていたのか分からないがもう薬草の場所に着きそうなのでなかなかのスピードで走っていたのだろう。
受付のお姉さんには遠いと言われていたがすぐに着いてしまった。
モンスターが出てくる感じでもない。
結構、稼げる仕事か?
まぁ、これもサハラのお陰だな
お仕事がんばります。
読んでいただきありがとうございました。次も読んでくれたら嬉しいです!