2話 いざ、異世界
続きみていただいてありがとうございます。
二話目も楽しんでいただけたらと思います。
ネタバレしてくる系神様と別れて暗闇を一人進んでいた俺はこの後のもふもふライフを想像していた。
まず、家やお金をためてもふもふと触れ合うのはそれからだな。
そう思いながら暗闇を進んでいると目の前に木製のドアみたいなのが現れた。みたいなのっていうかドアだけど。
「あってるのかこれ?」
間違いなく神様が指を差した方向をまっすぐ進んできた。
まさかドアを通って異世界に行くとは思っていなかったので混乱する。
「え、ほんとに?質素なドア過ぎない?もっと豪華でもいいと思うんだけど」
暗闇の向こうから光が見えてその光に入っていくと異世界!みたいなものだと思っていた。
すごくど〇でもドアを思い出す。
こんなに自分からドア開けて入っていくスタイルだと自分の行くべき世界かわかんないだろ。
もっとわかりやすくしてほしいものだ。
「行くか」
結局悩んでいても仕方がないのでこのドアから入ることにした。
こんな質素なドアが本当に異世界につながっているは疑わしいがこれしかない。
俺はドアノブに手をかけてゆっくりと回す。
ドアの向こうは光っていて何も見えなかったがさっきよりかは異世界への入り口っぽい。俺は覚悟を決めてその光へと飛び込んだ。
光に飛び込んでから少しすると自分の足が地面に着いた感覚がした。
地面はふかふかのカーペットのような感触だった。
恐る恐る目を開けてみると、そこはあの質素なドアからじゃ想像もできないほどの豪華なお城のような場所だった。
柱や壁、いたるところに金色の細工が施されていて光っている。
自分の目の前にいるのはこの世界の王なのだろうか。少し太っている......いや、ふくよかでおじさまといった感じだ。
豪華な衣装に身を包んで厳格な雰囲気を出していた。自分の周りには制服を着た学生が5人ほどたっていた。
その時、王様らしき人がしゃべりだした。
「お前たちを転移させた、国王のアーベル・ルシューリクだ。お前たちにはこれから勇者として魔王を倒す旅に出てもらう」
この王様はアーベルさんというのか。展開はちゃんと神様が言っていた通りだな。
このままいけば俺が勇者パーティから外されて放り出されるはず。
そんなことを考えていると隣にいる陽キャであろう高校生の男の子が王様に反論していた。
「急に連れてこられて魔王と戦え?ふざけるなよ!」
「そうだな。そう思うのもわかる。だが、勇者になれば人気者になれるぞ」
「命がかかってんだぞ!そんなんで承諾できるか!」
周りにいた高校生の男女も男の子の言葉に同意を示していた。
「そうか。国を救ってくれる勇者には金をたくさん出そうと思っていたんだがな」
「やります。」
男の子は国王の言葉を聞いた瞬間、即答で答えた。
俺は吃驚して男の子のほうを見る。お金がたくさんもらえたらやるのか?!
周りを見ると男の子に同意していた子たちもびっくりした様子で男の子をみていた。
そりゃそうなるよな。吃驚した。
最近の子はそういう感じかと思った。よかった、あの子だけで。
「そうか!やってくれるか!感謝する。だが、勇者パーティの資金は五人分しかないんだ。お前たちは六人いるな。一人多い」
なるほど。俺はここで勇者パーティを下ろされるのか。よっしゃ、来い。
「そうだな。そこのお前。」
国王が指をさしていう。その指の先はもちろん俺......なんか微妙にずれてるな。
これは、さっきのちょろい男の子とはまた違う、高校生の子を指さしているのではないか?
「そこのお前は勇者召喚に巻き込まれただけだな。お前が出ていくがよい」
ん?神様、展開ちがくない?ここは俺が出て行けと言われるところなはず。
まずい、このままじゃ俺のもふもふライフが魔王討伐の旅に変わってしまう。ここは俺が追い出されなければ!
「王様!俺が勇者から降ります!」
「お前は、勇者だろう。認められん」
「そこを何とか!」
確かに、待遇のいい勇者を降りるという俺は王様から見たら変人に見えるだろう。
だが、俺はそれよりももふもふライフが欲しい!
神様が言っていたことを思い出せ、何か勇者をやめれる情報が......!そうだ!
「王様。俺はそこの子よりも弱いです。ならば俺を下ろすべきだと思います!」
「ふむ、それはそうだな。だが、お前は勇者として呼ばれたのだ。そこのは違う」
「いいえ、俺は役に立ちません。びっくりするほど役に立ちません!」
俺がそういうとさっきのちょろい子が俺の気持ちを汲み取ってくれたのか、加勢してくれた。
「そうです!この人は死ぬほど役に立ちません!」
その言葉に俺は死ぬほどダメージが入った。
人に言われるのと自分で言うのじゃダメージが全然違う。
しかし、そんなことにダメージを受けている場合ではない。
自分の望むもふもふのために、スローライフのために!!
そんなこんなあって最終的には俺が高校生全員に罵倒されていたが王様に勇者を降りることを許可してもらうことができた。
何も持たせずに外に放り出すわけにはいかないと王様にとりあえず何週間はもちそうな資金となぜか家までもらうことができた。
大きいとは言えないが一人で過ごすには全然問題のないほどの一軒家。
ほんとになんでだ?王様が言うにはその家まで馬車で連れて行ってくれるらしい。
「準備ができました」
「はい」
馬車の準備ができたらしい。ちなみに場所は聞いていないどうせ聞いてもわからないから。
ここ、首都の名前はシューベルトとというらしい。馬車で連れて行ってくれる兵士の人の後をついていくと城の外に出た。
目の前には馬車とそれを引っ張る馬。かわいい。
俺が好きなのはふわふわだが動物全般も好きなので撫でたい衝動に駆られるがこの子たちは仕事前なのでやめておく。
あぁ、撫でられないのが悔しい!
そんなことを思いながら馬車に乗り込んだ。少しすると馬車が動き出し揺れる。
そういえば、この世界にはユニコーンとか幻獣系のモンスターはいるのだろうか。あこがれるんだよなぁ。
「ほんとに愛されスキルとかもってんのかな」
そう思うと一気に怖くなってきた。
あのやり取りが幻覚だったのならもふもふライフなんて夢のまた夢だ。
まぁ持ってると信じるしかない。
それにしても、なぜ王様の対応はここまで手厚いのだろうか。資金を少し渡してポイかと思っていたのに。意外と優しいとこあるんだな。
「すごいな、愛されスキルは」
ここは天界。神様は天界から西城の様子を眺めていた。
「まさか、あのスキルを持っただけで勇者になれるように展開が変わるとは」
そう。西城が勇者にされそうになった理由は愛されスキルが発動していたから自分に都合のいい方向へと展開が変わっていっていたのだ。
愛されスキルは常時発動型。
それを知らない西城はなぜか展開が変わって勇者ではなくなっても資金と家が与えられるという都合のいいように動いているな、ということしか思っていない。
「これは、面白いことになりそうじゃの」
神様は少し笑ってまた西城の様子を見始めた。
そこには、何も知らずのんきに馬車で寝ている西城啓介の姿があった。
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