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1話 神様がネタバレってマジですか?

開いていただきありがとうございます。読みずらいところもあるかもしれませんが最後まで読んでいけたらうれしいです。

「でもなぁ、お主は勇者パーティーには入れんからのぉ。どうしたものかの」


目の前に座る神様は唐突に俺に向かってそういった。あ、やべっとてへぺろをかます神様。

目の前のやつが発した言葉の意味の理解が追い付かずフリーズする俺。


え、これいま、もしかして俺の人生ネタバレされた感じですか???


遡ることおよそ3時間前の土曜日の昼過ぎ。俺、西城さいじょう 啓介けいすけはスマホで主人公がもふもふのかわいいモンスターに囲まれる異世界転生系のアニメを見ていた。

俺は小さいころから動物が大好きだった。小さいころの夢は牧場で働くこと。なれないこともなかったが親に反対されて断念した。


特に猫や犬が好きだ。というかもうもふもふの動物であればなんでもかわいい。

今アニメを見ているこの瞬間だってこの主人公に成り代われたらどれだけ幸せだろう。

もし異世界転生、または異世界転移を果たすのなら動物に囲まれたい。


「もう、世界とかどうだっていいわもふもふさせろ。」


そう呟いた独り言が俺しかいない部屋に消えていく。なぜ、動物好きの俺がペットを飼っていないのか。それは、この物件がペット禁止だからである。

いや、これだけではない。というかそんな理由なら普通に引っ越す。一番の理由は会社である。

平日は家にはほぼいないし、仕事?なにそれ、おいしいの?の上司が休日も会社に呼びつけてくる。なので社会人3年目の俺は人間はクソだ、そう信じることにした。信じれるのはもふもふだけ。

その時、推しである狼モンスターにとある通知が被った。


誰だよ、こんないい時に。


無視しようかと思ったが友達からだったら申し訳ないので一応、見に行くことにした。

通知をタップしてアプリに飛ぶと一番上に表示された連絡先のところに①のマークが出ていた。

名前を見た瞬間、自分が無意識に顔をしかめたのが分かった。

上司だ。

飲み屋の焼き鳥のアイコンを見ただけでもイラつく。

だが、このまま放っておいても平日に出勤したときにぐちぐち言われるだけなので上司のアイコンをタップし用件を見る。


仕事が溜まってるから手伝ってもらっていい?よろしくね☻頼りにしてるよ!


これだけ見たら、仕事がたくさんあって処理しきれないので部下を呼んだ普通の上司だろう。だが、こいつは平日はサボって会社のパソコンで動画を見ていたり遊んでいたりする。そして、休日にすべて終わらせようとして結局終わらず部下を呼んでいるクソみたいな上司だ。なんでこいつが昇格できたのか不明だがこんなに会社に不利益な奴今すぐ追い出すべきだろう。


「まぁ、会社行くんだけどね」


先ほども言った通り、平日にぐちぐち言われて仕事が進まないのが一番最悪なのでどんなに心の中で悪態をついていようが結局、会社に行く羽目になってしまう。慣れた手つきで準備をして家を出る。会社から近い場所に部屋を借りたのも上司に呼ばれる要因なのだろう。


あーめんどくせー。上司、会社辞めたらいいのに。


そんなことを考えながら青になった信号を渡る。ふと横を見ると停止線を越えたトラックが止まらないままこちらに来ていた。逃げろ。脳が全身にそう命令するがもう遅かった。こういう時、体は動かないが思考はやけにはっきりするんだな。それならばすることはひとつしかない!


ああ、神様。転生するならもふもふに囲まれる世界がいいです。あと、あの上司は殺してください。


そう、神様にお願いごとをする。最後までお願いできたかはわからないが、死に間際の一生のお願いだ。神様も聞いてくれるだろう。殺しても死ななそうなやつだが神様ならきっと.....ところで自分はなぜこんなに意識がはっきりしているのだろうか?目の前が真っ暗で何もわからない。死後の世界ってこんな感じなのか。


「え、なんかいる」


聞こえてきたのは少女の声。向こうから何かが近づいてくるような感じもする。

少し待ってみると目の前には黒い髪が腰のあたりまであるかわいらしい少女が現れた。


「君も死んだの?」


おそらく俺は死んでしまったので同じところにいるということはこの子もそうなのであろうと考えた俺は少女に話しかけた。


「いや、私は神様だよ」


「神様って自分のこと神様っていうんだ」


「だって、神様なんじゃもん」


「ていうか神様って、なんかこうもっとおじいちゃんな感じというか、全知全能感があるっていうか、そんな感じじゃないんですか」


「それはもう古いじゃろ」


「そのしゃべり方は?」


「ギャップというやつじゃ」


「狙ってそのしゃべり方なんだ…。ところでここは?」


「ここは世界のはざまじゃ。ここからいろんな世界に行き来することができる」


世界を行き来できる….......?ん????


「あ、これ異世界転移中か?!」


「うおっ、なんじゃ急に。」


「マジか、異世界転移とか最高。もふもふがあればなお最高。」


一人でガッツポーズをとる俺を不思議そうに見つめる神様


「もふもふ、?」


「もふもふの動物のことですよ!え、俺が転移する世界にもふもふのかわいい子はいますか!?」


「ちょ、落ち着くのじゃ!」


興奮する俺を神様がなだめる


「落ち着いて聞け。お主のいうもふもふとやらはいる。」


「マジか?!」


「落ち着けって言っとるじゃろ!」


「いやーすいません。なんて言ったってここ数年、もふもふ不足でしたから」


もふもふがいる世界とは、!猫みたいな子も犬みたいな子もいるんじゃないか?会いたい。

もう今すぐ会いたい。この後の素晴らしいもふもふライフの想像を考えているとあることに気づく。


「神様、俺ってなんで異世界に?」


「あぁ、それはな。お主が勇者として選ばれたんじゃ。こうこうせい...…?というものたちと一緒に勇者パーティを作り、魔王を倒すためにの」


神様は、俺にビシッと人差し指を向けてそういった。というか、高校生と勇者するのか俺は。

なんかこの前に見たアニメにそんな設定の話が合ったような気がするが、主人公はどうなったんだか。

まぁ覚えてはいないがそのアニメの主人公が楽しそうに暮らしていたことは覚えているのできっと俺も大丈夫だろう。

そんなことを考えていると神様がまた口を開いた。

次の瞬間、神様が最悪のカミングアウトをするまで俺は幸せだった。ありがとう、一瞬の幸せ。


そして、最初に戻る

俺はその言葉を理解できず、約15秒ほどフリーズしていたと思う。

もしかしたらもっと長かったかもしれないが。目の前の神様も口を手で押さえて吃驚していたが、ごまかせないと思ったのか


「言っちゃった」


なんて言っていた。言っちゃったじゃないですよ。


「神様がネタバレってマジですか?」


「マジじゃ」


「ていうか、俺勇者パーティ入れないんですか?」


「そうじゃ、もう言っちゃったから言うがお主は間違えて転移されたやつより弱くて勇者パーティから降ろされるのじゃ」


「マジか」


「マジじゃ」


その言葉を聞いて俺はがっくりとうなだれる。

異世界で一文無しとか死まっしぐらじゃねぇか。もふもふどころじゃない。

異世界だぞ、そのもふもふに殺されて死ぬかもしれない............本望か。


「どうにかなりませんか?」


「もともといた世界に戻るか?戻った瞬間、トラックでドンじゃが」


「最悪じゃないですか」


元の世界でトラックににドンするくらいなら異世界でもふもふに殺されるほうがいい。

まぁ異世界に行ったって肝心のもふもふに出会えないまま餓死で世界を去ってしまうかもしれないが戻った瞬間死ぬよりましだろう。

だが、モフれないまま死んでしまうのも違う。その時俺は思い出した。

家を出る前に見ていたアニメの主人公はもふもふ達に好かれていたことを。

そうだ、愛されスキルだ。もふもふに愛されれば殺されることも、モフるのを拒否られることもない!


「神様、愛されスキルをください。俺は勇者パーティに入れなくても、もふもふに愛されるならそっちのほうがいいです。」


「あ、愛されスキルか?SS級のチートスキルなんじゃが」

「ください」


「スキルを持っていること自体、レアなんじゃが」

「ください」


「だってお主、勇者パーティでもない......」


神様は俺にスキルを与えることを渋っているみたいだ。それに愛されスキルはSS級らしい。

それはそうだろう、なんて言ったって異世界のもふもふに愛されるスキルなのだからチートスキルといったって過言ではない。

なので、こんなに渋るのはわかる。だが、こちらもあきらめるわけにはいかない!


「さっき俺は、人生ネタバレを食らいました。とってもショックです。このスキルをもらうくらい、いいんじゃないですか?」


「お主、なかなか痛いところをついてくるな。確かに、わしのミスじゃったが譲るわけにはいかん!」


神様は小さい少女の手で大きなばってんの形を作る。

かわいいが、この一瞬のかわいさに俺のもふもふライフを手放すわけにはいかない。


「わかりました。どうしてもくれないのなら勇者パーティに無理やりついて行って邪魔をします。」


「お主、必死すぎないか!?」


神様が俺の勢いに押されて一歩下がる。


「はぁ、しょうがない。お主には負けた」


「くれるんですか!」


「お主なら勇者パーティの邪魔をしかねんからの。特別じゃぞ」


神様があきれたように言う。


「ただし、ちょこちょこ様子を見に行くからな!悪いことに使うんじゃないぞ」


「別にそのくらいいいですよ!もふもふライフが送れるのなら!」


「お主、もふもふに全力じゃな。」


「当たり前です。」


「ははっ!いいぞお主。わしは気に入った」


そういって神様は俺の心臓のあたりに手をかざした。


「先ほども言ったが悪いことには使うなよ。お主のもふもふライフとやらを見届けようじゃないか」


神様の手から強い光が広がる。

俺はその光に飲み込まれまぶしくて目をつむった。その光は思っていたより早めに終わり目開ける。

そこには変わらず小さい少女の姿の神様がいた。


「何か変わったか?」


「驚くほど何も」


そう、俺の体は思っているより何も起こっていなかった。

これは、自分の意思でスキルが使えるタイプのスキルなのか。


「ちなみに、わしにはそのスキルは効かんからな」


「え、はい」


それはそうだこのスキルはもふもふに愛されるためのスキル。

神様がもふもふならばそれを危惧するのはわかるが神様は少女であってもふもふではない。


「出口はあっちじゃ。気を付けて行くんじゃぞ」


神様が指をさしている方向もずっと暗いが本当なのだろうか


「わかりました」


「ちょくちょく見に行くからのー」


「わかってますって。何回言うんですか。」


そういって俺は神様が指を差した方向に歩いて行った。

一度後ろを振り返ってみたが少女の姿はもうそこにはなかった。俺は前を向いてまた歩き出す。



待ってろよ。俺のもふもふライフ!




最後まで読んでいただきありがとうございました。楽しんでいただけたならとてもうれしいです。次も読んでいいただけたらなと思います!

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