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第49話 新時代の幕開け

 こうして、パルメリア・コレットが率いる共和国は、その歴史的な第一歩を踏み出した。

 とはいえ、長年にわたる権威主義や根深い腐敗が、一夜にして消えるはずもない。各地には依然としてくすぶる火種が残っている。それでも、多くの人々の胸には「自分たちの手で未来を切り開く」という意識が少しずつ芽生え始めていた。その小さな灯火を絶やさぬよう、パルメリアは仲間と共に迷いなく前へ進む覚悟を固めている。


(前の世界では、ただ平凡な毎日に追われていただけ。まさか転生先でこんな革命を起こすなんて……。振り返れば、全てが奇跡的な巡り合わせだったわ)


 遠くから祝賀の鐘と人々の歓声が(かす)かに響いてくる。各地では新しい学校や医療施設が次々と建設され、いたるところで新時代の兆しが芽吹いていた。かつて「傲慢な貴族令嬢」と揶揄(やゆ)され、追放を恐れていた自分はもういない。今では多くの人々が、パルメリアの名を「革命の英雄」として口にするようになっていた。

 そんな現実に、彼女は胸いっぱいの感謝を抱くと同時に、大きな責任を感じずにはいられない。


「……ありがとう、パルメリア・コレット。この道を、私たちは共に歩んでいく」


 どこからかそんな声が届いたような気がして、パルメリアは微かに笑みをこぼす。

 革命という大波を乗り越え、一つの大団円を迎えたように見える物語。しかし、彼女の瞳はさらに遠くを見つめていた。かつて怯えていた「追放エンド」など、もはや彼女の未来には映らない。――「愛と大義」を両立する道を、ようやく見つけたのだから。


「こんな世界だって、変えられる。私はもう、振り返らない。――パルメリア・コレットとして、この先へ進むわ……!」


 頬をかすめる優しい風が、晴れ渡る空から降り注ぐ光をいっそうまばゆく映し出す。

 そして、その輝きの下で――共和国の歴史が、今、静かに、そして力強く幕を開けようとしていた。

 誰もが未来を自らの手で切り拓き、共に支え合う新時代を夢見ている。

 彼女はもう振り返らない。理想を掲げて歩み出すその背中が、この国の未来を照らす光となるから――


(第一部 完)

(第二部へ続く)

 みなさま、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「悪役令嬢、理想を掲げて」、ついに第1部完結です!


 気づけば「悪役令嬢」という枠を超え、王国を揺るがす改革者となったパルメリア。

 追放や処刑を避けるために始めた行動は、やがて民衆の希望となり、彼女自身すら予想しなかった「革命」という大きな渦へと発展していきました。


 しかし――これは、決して「理想の終着点」ではありません。

 革命はあくまで「始まり」に過ぎず、王政崩壊の先に待つものは、決して甘くはない現実です。


 第2部「悪役令嬢、革命の果てに」 では、王政を倒し、新たな共和国を築いた彼女が直面する、革命後の現実を描いていきます。


「革命が終われば平和が訪れる――そんな幻想は、すぐに崩れる。」

 荒廃した都市、飢える民衆、復権を狙う旧貴族たち……

 国を守るための「力」は、やがて「抑圧」へと変わり、自由のために戦ったはずの彼女は、いつしか「秩序」の名のもとに粛清を繰り返していた。


「これは、正しい選択なのか?」

「いや……これしか、道はない。」


 仲間たちは離れ、理想は遠のいていく。

 それでも、パルメリアは歩みを止めることはできない。


 革命の英雄は、やがて歴史に何と刻まれるのか。

 栄光か、破滅か――第2部、間もなく開幕!



 改めて、ここまで読んでくださった皆さまへ。


 第1部を楽しんでいただけたでしょうか?

 ここまで彼女の歩みを見守ってくださった皆さまには、心から感謝しています!

 第2部ではさらに壮絶な展開が待っていますので、ぜひ次の物語も楽しみにしていてください。


 それでは、また次の章でお会いしましょう!

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