冒険者編4
数日の旅の疲れを取る休憩も辺境伯家で緊張しながらの滞在だったので休めたのか何なのか…
今日からは辺境伯領にある国内でも最大級のダンジョンに3日くらいの予定で潜る。
僕とハルトとジーク(ジークムント)の3人でパーティを組んでいく。慣らしながら進みいけたら10階層まで行く予定。僕はレベ上げ目的だけどハルト達はこの後に2週間くらい入ってダンジョンの間引きと調査をするらしいのでその前調査。
ここは国内最大級だけあってまだ突破されておらず、最下層がまだ不明なんだって今現在わかってるのは67階層まででダンジョン特有の階層転移陣は10階層づつ(自分で進んで転送陣を登録しないとダメ)。討伐すると何かがドロップするのはゲームと似てる。
ドロップアイテムも食料から装備品・装飾品・マジックアイテム(ポーションからマジックバックまで幅広い)
試したい魔法もあるし楽しみだな。
「じゃあ行くか。今日はいけたら5階層までかな?」
「そうだね!エル君の無理がないペースで行こう。俺たちも軽く調査しながらだから大丈夫だろう」
「頑張りまーす!」
ダンジョンに入り最初はスライムから始まり、ラビット系やウルフも出てきたけど多くても5匹くらいだから全然大丈夫。3階層までは洞窟の中みたいだったけど4階からはフィールドタイプになってて、空がある。ここからは植物も色々あるので果物なんかも季節関係なく取れる。(魔素が満ちてるから果物も次の日には復活してるらしい)
「わーい♪」
僕が今ご機嫌なのはバナナとりんごとマンゴーみたいな果物の木を見つけて味見したら甘くて美味しかったから、いっぱい採ってるところ。ハルトとジークも近くで採取してる
そんな時自分の索敵に引っかかる。
「会敵!2時の方向!…多分鳥?飛行系…」
程なくして見えたのはやはり鳥類で、どうやら果物が好きな魔物らしい。食べ頃を狙ってきたのかな?
「ウインドカッター!」
カマイタチで羽や首を狙う。素材がドロップするから攻撃する時になるべく綺麗に仕留める事を気にしなくて良いのがラク♪
「採取中もしっかり索敵出来てるし、倒すのにも安定してるな!流石ハルトが目をかけてるだけはある」
「だろ?魔法の使い方も独特なんだぜ?俺も新しく技が増えたし」
「お前なー、後輩にたかるなよ!」
「大丈夫だ!俺も戦い方とかアドバイスしたりするから持ちつ持たれつのいい関係なんだよ!」
「いいなぁ〜、羨ましい。」
本当にハルトとジークは中が良くて、良いパートナーって感じ。僕も相棒みたいな人が欲しいけど秘密があるから中々難しい
「ジーク『ソイの実』も少し採ってくか?」
「そうだな。調査の為に少し採ってくか」
『ソイの実』って何だろう…。ハルトが採取してるやつかな?比較的低木で色の濃さに種類がある実?を採ってる。
「それなーに?」
「ん?エルは初めてか?『ソイの実』は中が茶色い液体なんだけど、塩辛くて飲み物にはならないんだ。気つけに使うくらいで余り使い道がないんだ」
茶色い液体?塩辛い?もしかして…
はやる気持ちを落ち着かせつつ自分も3種類の色違いの実をとる。中身を出せるように小さい鍋も出す。
小さい椰子の実みたいで外皮は硬いけど中に液体があるのがわかる。お尻の方を剣で落として穴を開けると…懐かしい香りが!!
鍋に移された液体は紛れもない醤油!凄い!大豆からじゃなくて醤油自体が実なんて!…そういえば砂糖とか塩もそんな事言ってたような…ファンタジーだと思って流してたけど実際目にするとびっくりする!
脳内で大フィーバーをおこしながら3つ全部取り出して確認すると、なんと!外皮の色の濃い順に、濃口醤油・醤油・麺つゆだった!もう全部とっていこう!
「な?使えないだろ?」
「何言ってるの?これ調味料だよ?いらないなら僕全部貰いたいけど良いよね!!」
「おおっ?良いけど、エルこれ何かわかるのか?」
「調味料?タネも割ると何か出てくるんだがこれも使えるのか?」
ジークが空になった実を更に縦に切ると実頭の方にあった種子が割れてて中には味噌が!
「嘘でしょ?確かに原料は一緒だから良いのか?ご都合ファンタジーすぎでしょ…ブツブツ…」
脳内フィーバーが更にスパークしたよ!
お味噌も赤味噌・合わせ味噌・白味噌だった…しかも出汁入り久しぶりすぎて味噌だけでも舐めちゃう…
「おーい、エル戻ってこーい!」
「面白いなエル君。自分の世界に入っちゃったか…」
少しして漸く正気に戻った時にはハルトとジークで粗方採取は終わってた
「ごめん!嬉しくて飛んでた(恥)」
「「面白かったから良し!」」
「エル君出来たらこれで何か作ってくれないか?調味料ってわかっているなら使用方法も分かるだろう?」
「了解です!楽しみにしてて下さいね!」
ふふふ、久しぶりに前世の主婦時代の知識が役に立つ時が来た!何作ろうかなー♪ 照り焼き?唐揚げも食べたいし、焼肉のタレは外せないでしょ!ふふふふ
この時は1人でニヤついててかなり危ない人になってたらしい。後日散々ネタにされた…