第2話 首無し騎士ユマの独白
当手記は、伝説のアンテッド『不死辺境伯』と接触した私と仲間達の顛末を当時の私の記憶と仲間の証言を元に出来るだけ正確に記録した手記です。
自己紹介が未だでしたね。
私の名はユマです。
女性3名で結成された探索者パーティ『探索者3人娘衆』のリーダーを務める19歳の姫騎士です。
私以外のメンバーは、魔法使いのユリナ、斥候のミレアです。
私達3名は、親同士が交易都市ディールの有力者でもあり、家族ぐるみの付合いがあり、幼い頃から、魔法使いのユリナ、斥候のミレアとは、仲が良かったです。
所謂、同性、同じ年の幼馴染ですね。
幼い頃より仲が良かった、私達3名ですが、16歳で成人を迎えた年に探索者パーティを結成しました。
勿論、交易都市ディールの有力者である私達の親がは、娘達が探索者等と怪しげで如何わしい職に就くのを嫌っただど思います。
探索者は、世間一般には、破落戸や無法者も集まりと見なされていますからね。
探索者が採取した、モンスターの肉ゃ皮等の部位、ダンジョン内でしか採取する事の出来ない、貴重な霊草や魔素鉱石等の交易で交易都市ディールの繁栄しているのも事実です。
私達、ユマ、ユリア、ミレアの3名は、親達を脅して、我儘を押し通して探索者としか活動する事に成功したのです。
矢張り、脅しが効いたようですね。
探索者に成る事が、出来ないなら修道院に入院して女神に操捧げて。
交易都市ディールの有力者である私達の親は、私達を政略結婚の駒として使う心算なので、この脅しは効果てきめんでしたわ。
こうして、私達3名は条件付きで探索者して活動する事を親達から許されました。
1.活動拠点は、交易都市ディールとする事。
2.実家に居住する事。
3.ダンジョンの採取は、霊草の採取、魔鉱石の採取に限る事。決してモンスターの狩は行わない事。
4.ダンジョンの探査は交易都市ディールの近辺にある『不死辺境伯の城』に限る事。
5.5年後、探索者を引退後は、親の決めた相手と必ず結婚する事。
6.尚、ダンジョンの探索は必ず、実家が雇用した護衛団と必ず、一緒に行動する事。
以上の厳しい条件付ながら、探索者パーティ『探索者3人娘衆』は、探索者として活動を開始しました。
ご令嬢のお遊びと他の探索者に揶揄されましたが、『探索者3人娘衆』に地道に実績を上げ、4年後には第2級探索者パーティに、上り詰めたました。
最期の5年目には、探索者稼業よりも結婚の準備等の私用で忙しく過ごしていた、私達3人でしたが、検索者協会から依頼が舞い込んで来ました。
『探索者3人娘衆』の有終の美飾る筈だった依頼が。
私達3人、姫騎士ユマ、魔法使いのユリナ、斥候のミレアの運命を変える依頼が。
※ ※ ※
伝説のアンテッド『不死辺境伯』に、接触を試みる為、護衛団と共に、ダンジョン『不死辺境伯の城』に潜入した、私達『探索者3人娘衆』だが、潜入初日には、この依頼を受けた事を後悔する事になりました。
ダンジョンは、3タイプに分ける事が出来ます。
1.洞窟に魔素が滞留して空間が歪み発生する洞窟タイプ。
2.郊外の辺鄙な場所に、魔素が滞留して空間が歪み発生する屋外タイプ。
3.城や要塞等の巨大建築物に魔素が滞留して発生する建築物タイプ。
上記の3タイプが、ダンジョンの基本タイプに成ります。
3タイプのダンジョンに当て嵌まるのが、伝説のアンテッドが住まうと伝えられているが『不死辺境伯の城』なのです。
『不死辺境伯の城』は、小山の上に立つ城と山腹の洞窟の全てが全てダンジョンを形成しています。
山の麓に護衛団と共に潜入した、『探索者3人娘衆』ですが、空中から言葉が響きました。
「我が居城にようこそ。お嬢さん達を我が城へ招待しょう」
そして私達は、不死辺境伯の居城へと転移されたのです。
伝説の転移魔法で攫われた私の眼前には、伝説のアンテッド『不死辺境伯』がいます。
黒髪黒目の筋肉質の細身、長身の男性でアンテッドらしからぬ容姿の持ち主です。
頭巾付きの紫のローブを纏い眼光鋭く私達を見つめています。
不死辺境伯の手中に落ちた私は、指一本動かす出来ません。
ユリア、ミレアの2人も身動き出来ない様です。
青白い光に照らされた謁見の間で不死辺境伯の身の上話を聞かされる事になりました。
※ ※ ※
不死辺境伯の身の上話は、先の原稿に纏めた通りです。
「お嬢さん達に褒美を与えよう」
不死辺境伯が無情に謁見の間に響き渡る。
女の感で、命と純潔の危機を悟ったのか、斥候のミレアは顔面蒼白です。
魔法使いのユリアは椅子に座ったまま気絶しています。
「ご褒美に永遠の若さを授けてあげよう」
無情な声が、再び謁見の間に響と同時に気絶していたユリナの身体が激しい炎吹き出し燃え上がります。
身に纏った衣服は燃え尽き地獄の業火を纏ったユリナが立ち上がります。
ユリナが、アンテッドして生まれ変わった瞬間でした。
斥候のミレアは、眠る様に亡くなっいます。
ユリナとミレアは ドレインタッチで命を奪われでしょう。
親友の命を奪われ親友が人外のモンスターに変えられていくのを成す術もなく見ているしか術はありません。
ミレアの亡骸にもアンテッド化の変化が始まりました。
彼女の遺体が透け始めたのです。
衣服を残して残して完全に透明化とした事でミレアのアンテッド化は、完了した様です。
新たに不死辺境伯の眷属が誕生した瞬間です。
最期に残されたのは、1人です。
不死辺境伯の鋭い眼で見つめられと身体から力が抜けていきます。
ドレインタッチの効果なのでしよう・・・
私は眠る様に19年の人生に幕を閉じる事になりました。
人間としての・・・
そして、長い長いアンテッドしての人生が幕が上がる事になりました。
不死辺境伯の眷属としての人生が・・・
暗闇に閉ざされた意識が、覚醒しました。
閉ざされた瞼を開くと奇妙な光景が眼に映りました。
燃え上がる人型と透明な身体に張り付く衣服に挟まれて首の無い身体がいます。
首無しの身体は、私自身の身体でした。
私の自身は頭部は空中浮かんでいます。
ユリナとミレアに引き続き私のアンテッド化は、完了したのです。
頭と身体が離れ離れに成りましたが、身体は普通に動かせる様です。
頭部と身体が離れ離れでも生前と同様に動き回れるのは、アンテッド化した為、影響でしょう。
異形の存在に生まれ変わった私達3人を見つめて不死辺境伯は満足そうです。
首を左手に抱えて左右を見廻す。
右側には人間松明とかした魔法使いユリナ。
左側には透明アンテッド化した斥候のミレア。
私自身は、姫騎士からアンテッド化した事で、首無し騎士へと生まれ変わった変わりました。
『探索者3人娘衆』は、不老辺境伯の眷属、『アンテッド3人娘』として生まれ変わったのです。
神の領域に踏み入れた不死辺境伯の魔力は人間の魔法使いと比較にも成らない凄まじモノがあります。
辺境伯の魔力は、死者を特殊能力を与えて上級アンテッドして蘇らす可能ですが、人の魔力で不可能な人の心さえ思いの通りに改変する事が可能なのです。
特殊能力を与えられ上級アンテッドとして蘇生した私達、3名ですが、心さえ永久に改変されていました。
アンテッドにして蘇生した私には、不老辺境伯に対して恐怖心も嫌悪感も欠片もありませんでした。
恐怖心は忠誠心に、嫌悪感は愛情、私が感じていたマイナスの感情は、プラスの感情に改変されていました。
こうして、私達3人は不死辺境伯と結ばれる事になりました。
交易都市ディールの有力者の令嬢である私達には、純潔を守る為、純潔封印魔法が掛けられていました。
純潔封印魔法は、暴力でも魔法でも破る事は出来ません。
純潔封印魔法を解く唯一の方法は、結婚式当日に創生と愛の女神の祝福を受ける事です。
創成の愛の女神の純潔封印魔法さえ、不死辺境伯の魔力の前には脆弱な盾に過ぎず無力でした。
寝所で、3人同時に汚れなき身体を捧げ不死辺境伯に可愛がつて貰いました。
アンテッドは、食事もする必要も眠る必要も疲れる事も無いので時間も忘れ快楽を貪り続けました。
ユリナ、ミレアも時間を忘れて無我夢中で快楽を貪り続けています。
彼女達も私同様に処女の筈だったのですが、始めとと思えぬ乱れぶりです。
私、ユリナ、ミレアの初経験を終えたのは、不死辺境伯と接触後、10日後の事でした。
行為後の私達の下腹部には、不死辺境伯の紋様が鮮明に浮かび上がっていました。
良家の令嬢で私、姫騎士ユマは、上級アンテッド『首無し騎士』して生まれ変わりました。
首無し騎士ユマは、身も心も全てを捧げた不死辺境伯の眷属そして、永遠の愛人です。
私の親友、松明アンテッドのユリナ、透明アンテッドのミレアも、不死辺境伯の眷属にして愛人です。
不死辺境伯とのこの世で無い関係を経験した私は、他の男性との交渉では決して満足する事ない身体になってしました。
最も、首無し騎士、アンテッドに蘇生した私を抱く、勇気のがある生者の殿方は皆無だと思いますが。
以上が、伝説のアンテッドの王者、リッチロード『不死辺境伯』に接触した探索者パーティ『探索者3人娘衆』の顛末です。
追記
父上、母上、先立つ不孝をお許し下さい。
貴方達の娘ユマは、人外の存在にモンスターに生まれ変わりましたが、愛する人と結ばれ多くの信頼できる仲間に囲まれ幸せです。
長い長い人生を愛する人と仲間達と生きています。
既に死んでいますが。
貴方達の愛する娘、首無し騎士ユマ。
※ ※ ※
不死辺境伯と首無し騎士ユマの独白手記は、探索者パーティ『探索者3人娘衆』が、『不死辺境伯の城』で、彼女達3名が不死辺境伯に転送魔法で攫われた30日後に、当編集部に転送魔法で送り付けられたである。
攫われた『探索者3人娘衆』の運命は、不死辺境伯と首無し騎士ユマの独白手記に本人達の言葉により書き綴られている。
当原稿が送り付けられて以降も、様々なアンテッド達の独白手記が当編集部に送り付けられてく。
何故、アンテッドが当編集部に原稿を送り付ける意図は不明だが、当編集部として公開しても差し障りの無い内容の独白手記を公開していく予定である。
スーミル書店編集部
誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。
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